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【一帯一路】中国ラオス鉄道、計画の2割どまり【債務の罠】

【一帯一路】中国ラオス鉄道、計画の2割どまり 債務の罠

東南アジアのラオスと中国を結ぶ鉄道の利用が伸び悩んでいます。

広域経済圏構想「一帯一路」を象徴する鉄道として中国主導で建設されましたが、貨物輸送量は計画の2割にとどまっています。

建設費などを中国からの借金で調達していて、低迷が続けば、代わりに重要インフラを押さえられる「債務のワナ」にはまる可能性があります。


詳しく解説していきます。


動画でも解説しています



中国ラオス鉄道は2021年12月に開業

中国ラオス鉄道は2021年12月に開業

中国ラオス鉄道は2021年12月に開業しました。

中国雲南省昆明を起点としてラオスを縦断し、首都ビエンチャンまで約1000キロメートルをつなぎます。

旅客のほか、国際貨物輸送も行っています。

トラック輸送が主体だった東南アジア・中国間の物流が大幅に改善するとみられていました。


10月にはタイやマレーシアの鉄道網に接続したほか、シンガポールに延ばします。


中国やラオス国営メディアは鉄道の効果をしきりに強調しています。

開業半年で64万トン超の貨物を運搬し、高速鉄道もラオス国内で41万人の乗客が利用したとされます。


中国ラオス鉄道、計画の2割どまり

中国ラオス鉄道、計画の2割どまり

しかし、実態は苦戦が続いています。

ビエンチャン郊外にある物流施設「タナレンドライポート(TDP)」では、約60ヘクタールの施設で見られるコンテナはまばらです。

昆明・ビエンチャン間では1日平均2本が運行するのみで、8月にTDPを通過したコンテナ数は6000個と、計画の2割どまりです。


中国が新型コロナウイルスの流入を抑える「ゼロコロナ政策」を堅持し、6月まで上海で都市封鎖が行われるなど、国際物流の需要が激減したことが低迷の主因とされています。

ただ、貨物取り扱いの方法も不透明で、ブローカーが介在して輸送費をつり上げ、荷主が使いにくい状況も続いています。


総事業費の約6割が中国からの有利子負債

総事業費の約6割が中国からの有利子負債

中国ラオス鉄道はラオス鉄道公社と中国企業3社の合弁企業が建設し、総事業費約59億ドル(8700億円)のうち、6割の約35億ドルを中国輸出入銀行からの有利子負債でまかなっています。


ラオス政府は債務の政府保証はなく、多額の債務は発生しないと主張しています。

しかし、鉄道をてこに東南アジア、中国、欧州を結ぶ陸上輸送のハブを目指しているため、鉄道会社を簡単にはつぶせず、偶発債務となる可能性があります。


ラオスの公的債務はGDP比で88%

ラオスの公的債務はGDP比で88%

世界銀行などによると、21年末時点でラオスの公的債務は国内総生産(GDP)比で88%に高まっています。

対外債務は推定104億ドルで、対中国がほぼ半分を占めます。


ラオス経済は新型コロナで大きな打撃を受けています。

足元のインフレ進行や通貨下落に加え、国運を懸けた鉄道の利用低迷で、対外債務返済に窮する可能性は一層高まっています。

レアメタルの鉱山から得られた収入を鉄道事業の担保とするなど、重要施設を手放さざるを得なくなる懸念も急浮上しています。


まとめ

まとめ

中国ラオス鉄道は2021年12月に開業しました。

トラック輸送が主体だった東南アジア・中国間の物流が大幅に改善するとみられていました。

しかし、実態は苦戦が続いています。

物流施設を通過したコンテナ数は6000個と、計画の2割どまりです。


中国ラオス鉄道はラオス鉄道公社と中国企業3社の合弁企業が建設し、総事業費約59億ドル(8700億円)のうち、6割の約35億ドルを中国輸出入銀行からの有利子負債でまかなっています。

このまま採算が取れず、低迷が続けば、スリランカの二の舞になりかねません。



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