投資信託を毎月一定額積み立て購入する人が増えています。
インターネット証券大手5社では合計で月約2000億円と、この1年半で2倍になりました。
老後への不安から投資に乗り出す若年層が増えています。
少額投資非課税制度(NISA)の改革もあり、今後も累積的に投資額が膨らむ見込みです。
個人マネーの「貯蓄から投資」の動きに拍車がかかってきましたが、積み立ての対象は低コストの海外株投信が中心です。
詳しく解説していきます。
投資信託の積立投資額、1年半で1000憶⇒2000憶
積立投資をする際に使う証券会社は、ネット証券が圧倒的に多いことが分かりました。
選べる投信が多く、ポイント優遇などのある、「SBI証券」「楽天証券」「マネックス証券」「auカブコム証券」「松井証券」経由が投信積み立て全体の7~8割程度を占めています。
5社経由の月間の投信購入額は2021年5月に初めて1000億円を超え、2022年10月に2000億円に達しました。
積立額は月2000億円前後で推移しており年換算すると2.4兆円のペースです。
2022年の公募投信の純資金流入額は8.8兆円だったので、この3割近くを占める計算になります。
積立以外で投資信託を購入している人も多いようです。
ネット証券で積み立て投資をする人は1年前比で41%増加
ネット証券で積み立て投資をする人は2022年12月時点で458万人と、1年前比で41%増加しました。
国民的な議論となった2019年の「老後2000万円問題」などをきっかけに、資産運用への関心が高まっています。
幅広い銘柄を組み入れる投信を毎月、買い続ける手法は投資対象や投資のタイミングが分散され、リスクを抑えながら長期に資産を増やすのに適しているとされています。
つみたてNISAが資産形成を後押し
2018年開始のつみたてNISAも資産形成を後押ししています。
金融庁によると、2022年12月末時点で口座数は725万口座と1年前に比べて40%増加しました。
ネット証券では投信積立額の3割強がつみたてNISAを経由しているとしています。
楽天証券ではつみたてNISAの利用者の8割以上を40代以下が占め、将来に備えて資産形成する意欲は若い人ほど高いよです。
2024年には新しいNISAが始まります。
新NISAでは、つみたて投資枠は年120万円と、現行制度の3倍になります。(成長投資枠は240万円)
ネット証券のつみたてNISAの平均積立額は月約3万円と、現行の上限(月3万3333円)に近い水準です。
そのため、月の上限が10万円に引き上げられるのに併せて、積立額を増やす人も多そうです。
投資信託を購入する日本人は欧米の半分以下
家計資産に占める投信の比率は4.5%と米国の13%、欧州の10%の半分以下です。
政府は5年間でNISA口座を2倍の3400万にする計画を立てています。
投資を身近なものにするにはNISAなどの後押しが欠かせません。
積み立ての対象は海外株投信が中心
積み立ての対象は低コストの海外株投信が中心です。
SBI証券では積立額1位と3位は米S&P500に連動する投信で、2位は世界株の指数に連動する投信です。
2022年は公募投信に純流入した資金のうち8割強が海外資産や国内外の資産に投資する投信に向かいました。
日本企業への成長期待は低いです。
東京証券取引所はPBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込む市場評価の低い企業に対して、資本コストや株価を意識した経営をするように改善を求めていく方針です。
魅力を高めた企業に個人マネーが向かい、企業の成長を加速させる好循環を国内に生む取り組みが課題となります。