金融業者から金銭を借入れている人に知っておいてもらいたいのが、「将来利息」と「延滞損害金」です。
順調に返済が進んでいる人には関係のない話ですが、返済計画がとん挫して滞るようになると、この2つに苦しめられることになります。
この記事を読めば、将来利息と延滞損害金から逃れる対処法を知ることができます。
将来利息とは
金融業者から金銭を借り入れると、借入額に利息が発生して借入額以上の返済をすることになります。
将来利息とは、文字どおり将来発生する利息になりますが、一般的に弁護士が介入した任意整理後に残る利息に対して使われる言葉になります。
通常借金の返済には、利息を付けて返済していくことになりますが、任意整理を行う場合は、将来の利息(将来利息)をカットして和解を行うことが一般的です。
ただし、将来利息を金融業者から免除してもらうのは素人には難しく、弁護士に任意整理を依頼して免除を目指すことになります。
弁護士による任意整理手続きを行うということは、すでに支払いが困難な状態に陥っているはずです。
最悪の場合、債務者は自己破産という手続きを取ることになりますが、その場合、債権者である金融業者は貸したお金を返してもらえなくなります。
個人再生という手続きもありますが、この場合も約8割の回収ができなくなり、債権者である金融業者には大きな損害になります。
任意整理によって将来利息をカットすることで返済が軽くなり、返済を継続することができるようになることは債権者にとってもメリットといえます。
そもそも利息とは
利息とは、貸借した金銭に対して、ある一定利率で支払われる対価のことです。
利息と利子は通常同じ意味で使われますが、借りた場合に支払うものを利子、貸した場合に受け取るものを利息と使い分けることがあります。
延滞損害金とは
遅延損害金とは、借金の返済を滞納した場合に生じる損害賠償金のことです。延滞利息や遅延利息とも呼ばれますが、遅延損害金は利息ではありません。
簡単に説明すると、約束どおりに借金を返さないことに対するペナルティです。
延滞損害金は返済日の翌日から発生します。
利息は約束がなければ発生しないのに対し、遅延損害金は約束がなくても発生します(遅延損害金の合意がなければ利率は、法律上3%になります)。
将来利息と同様に、延滞損害金は任意整理を行うことで請求を免れる可能性があります。
ただし、免除の交渉は素人には難しいため、弁護士を介して行うのが一般的です。
遅延損害金の上限利率は20%
遅延損害金の計算で必要となるのが、「遅延損害金利率」です。利息制限法では、遅延損害利率(年率)の上限が20%に定められています。
この利率を超えて合意をしたとしても、その合意は無効であるため、支払う必要はありません。仮に支払ってしまった場合には、借入金の元本に充当されることになります。
遅延損害金の計算方法
遅延損害金は、次の計算式で求めます。
$$遅延損害金=借入残高×遅延損害金利率÷365×延滞日数$$
遅延損害金が発生するのは、借入総額ではなく、返済期日の時点で返済できていない金額です。
借入残高に遅延損害利率を乗じることになります。
最低弁済で遅延損害金を回避
ケガや病気、介護等により、一時的に収入が少なくなってしまうことがあります。
もし一時的に支払いができないもののその後きちんと返済できるならば、最低限の金額(ミニマムペイメント)だけ支払う最低弁済を行い、貸主に遅延損害金を請求しないように金融業者に交渉する手があります。
あらかじめ連絡しておけば、最低弁済により遅延損害金を請求しない業者もあります。
遅延損害金が発生すると記録が残る
返済期日に遅れると、ローン会社やクレジット会社側に延滞者として記録が残ります。
遅れた日数やその後の支払い状況にもよるでしょうが、延滞した銀行や会社(グループ会社を含む)のサービスが半永久的に利用できなくなる可能性があるので、注意しましょう。
まとめ
金融業者等から借入れた金銭の返済計画がとん挫して滞るようになると、すでに自力での返済が難しい状況に陥っている場合が多いです。
そうなると、将来利息の増額や延滞損害金の発生によって返済が更に難しくなっています。
そんなときに検討したいのが債務整理の任意整理です。
任意整理を行うことで、将来利息や延滞損害金の請求を免除してもらえる場合があるので、返済を継続できる可能性が出てきます。
ただし、将来利息や延滞損害金の免除は素人には難しいため、弁護士に依頼するのが一般的です。