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自己破産の「同時廃止」と「管財事件」の違い

自己破産の「同時廃止」と「管財事件」の違い

自己破産を実際に行うと、「同時廃止」または「管財事件」として手続きが進んでいきます。

どちらの手続きで自己破産が可能なのかは、それぞれの状況によって異なります。


2つの制度を理解することで、安心して自己破産に臨むことができできます。




管財事件と同時廃止の特徴

管財事件と同時廃止の特徴
管財事件(原則) 同時廃止(例外)
・破産管財人が選ばれる
・財産・免責不許可事由がある
・期間が長い(半年~1年超)
・費用が高い
・裁判所への予納金が多い
・破産管財人が選ばれない
・財産・免責不許可事由がない
・期間が短い(~半年程度)
・費用が安い
・裁判所への予納金が少ない



管財事件とは

破産手続きをするためには、債権者数や債権額、債権者に分けるべき申立人(債務者)の財産額等を調査し、破産手続きが終了するまで管理し、債権者に分ける(配当)必要があります。

また、申立人の債務の原因や対応いかんによっては免責が許されない場合もあるため(免責不許可事由)、そうした事情がないかを調査する必要があります。


しかしながら破産申立ては、個人の自己破産だけでも年間7万件以上に及びます。これらの事実関係の調査や財産管理等をすべて裁判所が行うのは非常に負担が大きく困難です。

そのため裁判所は、これらの業務を行う者として、「破産管財人」を選任します。そして、破産管財人からの報告結果をもとに、裁判所が破産手続き・免責手続きの決定を判断します。


このように、破産管財人が選任されたうえで進んでいく破産事件を「管財事件」と呼んでいます。


同時廃止とは

上記で説明した破産管財人が選任されるのは、申立人の財産の調査・管理・配当や、免責不許可事由の調査等をする必要があるためです。

しかし、破産手続きを行うにも時間やお金がかかります。破産者に、破産手続きの費用を賄うだけの財産がないことが判明している時にまで破産管財人を選任しても、内容の乏しい手続きを行うことになります。


また、申立人の経済的負担にもなります(破産管財人の報酬は、申立人が負担することになっています)。

そのため、破産手続きが始まると同時に終了させる制度が存在します。それが、「同時廃止」です。


同時廃止では、破産手続きそのものがすぐに終了しますから、破産管財人が選任されることはなく、免責手続きだけが進むことになります。


なお、破産者に財産が十分に残されていることは多くありません。

個人の自己破産の多くは、同時廃止の手続きによって行われています。


手続の時間の違い

手続の時間の違い

管財事件では、破産管財人が資産の調査をしたり、資産を現金に換える手続きをとったり、これを配当すべき債権者を調査する等、破産申し立てをしてからも多くの手続きがあります。


管財事件の手続きの手間・時間は、同時廃止の場合に比べて非常に多くかかり、事件によっては、1年以上かかることもあります。

債務をなくすため、免責の許可をもらうことが破産を申し立てる一番の目的ですが、免責許可の決定が出るまでの不安定な期間が長くなってしまいます。


手続費用の違い

手続費用の違い

管財事件の場合には、破産管財人の報酬を破産者が裁判所へ納めなければなりません。

これは「予納金」といわれる費目に含まれますが、かなりの高額になります。


下記で述べる少額管財事件は別ですが、法律上、「50万円」が最低額と定められています。

これを破産者が準備することになると、相当大きな負担であることが理解できると思います。


ほかにも、同時廃止と管財事件では、裁判所へ納める手続き費用が多少変わってきます。

裁判所の手続きを利用する際には、その費用として収入印紙や郵券(郵便切手)、そのほか予納金を納めることとなります。


これらの金額が、管財事件の場合には少しずつ高額になります。


手続費用の目安

  管財事件 同時廃止
裁判所への費用    
  申立手数料 1,500円 1,500円
  郵便切手 約4,000円~
約15,000円
約2,000円~
約10,000円
  引継予納金
(破産管財人の報酬等)
20万円~ なし
  菅報広告費 約13,000円 約11,000円
申立代理人(弁護士)費用 35万円~40万円 25万円~30万円



少額管財事件という手続きがある

東京地方裁判所等、一部の裁判所では「小額管財」という手続きが用意されていることもあります。

これは管財事件のうち、比較的短期間の調査等で足りるものについてはその期間を短くし、破産管財人報酬も少額として行うものです。


この場合の管財人の報酬は「20万円程度」の裁判所が多く、費用面での負担は軽減されます。

また、手続にかかる時間も比較的短期間であり、負担は減ります。


少額管財は、法律上規定されている制度ではないため、管轄の裁判所が少額管財手続を用意しているか、その費用等がどの程度なのか、弁護士等に問い合わせてみましょう。


少額管財手続の場合、弁護士を代理人として、破産申し立てを行わなければならない裁判所がほとんどです。

管財事件となってしまう可能性がある場合には、いずれにしても弁護士等に相談する方がいいでしょう。


申立代理人(弁護士)費用の違い

申立代理人(弁護士)費用の違い

弁護士費用につていも、同時廃止と管財事件では差があることが多いです。

申立代理人(破産申立てを債務者の代わりに行う弁護士)は、裁判所や破産管財人とともに、事件の解決までの当事者として手続きを行う立場ですから、手続の時間や手間の多い管財事件のほうが、費用が高額になる傾向があります。


弁護士費用は、各弁護士が決めることになり統一した基準はありませんが、同時廃止の場合で30万円程度、少額管財事件の場合に40万円程度が一つの目安になります(破産管財人の報酬は別途発生します)。






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