この記事では、債権者一覧表の「書き方」と「一覧表に漏れた場合」について解説していきます。
記載にはルールがあり、それにのっとって債権者一覧表を作成することになります。
債権者一覧表とは
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債権者一覧表とは、自己破産手続を裁判所に申立てる際に提出する必要書類・資料の一つで、必ず提出しなければなりません。
債権者一覧表は各裁判所で入手することができます。
債権者一覧表を確認し、裁判所は各債権者に破産手続が開始されたことを知らせる通知を送付します。
通知を受けると、債権者は債務者に対して取立などを行うことができなくなります。
裁判所は、提出された債権者一覧表を見て、申立人の負債状況、自己破産の必要性、借金の返済を求められなくなる債権者などを把握し、自己破産手続きを決定するのが適切なのかを判断します。
裁判所に提出する書類は他にも、「破産申立書」や「陳述書」、「財産目録」などがあります。
債権者一覧表の書き方
債権者一覧表は、申立人の債務の負担状況を明らかにするために不可欠の書類です。
債権者一覧表は、借入れの古い順に記載してきます。
債権者名、住所、借入年月日、借入金額、最終返済日、現在の金額、使途、担保の有無について債権者ごとに記載します。
債権者というとサラ金や信販会社等の金融業者をイメージしますが、友人・親族等の個人からの借りれや勤務先の会社からの給与の前借り、家賃の滞納分といったものも含まれます。
よって、それらすべてを記載する必要があります。
1.債権者名
債権者名を書く順番にはルールがあり、借入年月日または購入年月日の古い順に上から記入していきます。
同じ債権者から、複数回にわたり借り入れている場合(例えば、一度返済してまた新たに借りた場合など)には、初めて借り入れた時期を基準にして記入しましょう。
債権者名の欄には、略称ではなく、債権者の正式な氏名または名称を記入する必要があります。ですから、相手方が法人の場合は「株式会社」なども省略せずに記入してください。
銀行や信用金庫等の場合は支店名も記入します。また、債権者には、クレジットカード会社や銀行だけでなく、親族・友人・勤務先などからの借入れもすべて記入しなければなりません。
2.債権者住所(送達先)
裁判所は各債権者に破産手続が開始されたことを知らせる通知を送付します。通知を受けると、債権者は債務者に対して取立などを行うことができなくなります。
書面を受領してもらうための住所なので、正確に記入しなければなりません。
なお、個人情報保護のため、個人債権者の電話番号・携帯電話番号・ファックス番号及びメールアドレス等は記入する必要はありません。
3.借入始記及ぼ終期
いつからいつまで借入があったのかを記入する欄になります。
正確な日付を判断する書類等が紛失していて分からない場合には、債権者に連絡をして、正確な日付を教えてもらいましょう。
弁護士に自己破産の申立てを依頼した場合、こういった連絡も弁護士が行ってくれます。
借入れが1回のみの場合には、「平〇年〇月〇日のみ」と記入します。
4.現在の残高(円)
裁判所が自己破産手続きを判断するための重要な書類ですから、正確な金額を記入しましょう。
消費者金融からの借入れで、利息制限法による引直しが必要な債権については必ず引直しを行わなければなりません。
そして、債権者一覧表の備考欄に「引直し済み」と記入します。
5.原因使途
「原因」欄は、A=現金の借入れ、B=物品購入、C=保証、D=その他、のいずれかの記号を○で囲みます。
「使途」欄には、借入金を何に使ったのか、だれの何の債務保証(夫の住宅ローンの保証、自分が経営している会社の事業費の保証など)をしたのかなど具体的に記入します。
また、原因が「物品購入」の場合、「使途・内容」欄には、「何を買ったのか」について、その購入品目を具体的に記入する必要があります。
連帯債務の場合、使用・内容欄に「保証」と記入するのではなく、原因欄でC=保証を選択し、備考欄に主債務者名を記載します。
6.保証人(保証人名)
保証人欄には、債務に対して保証人が付いている場合、その保証人の名前を記入します。
保証人が付いている場合の保証人の有する求償債権、公共料金の滞納分、勤務先からの借入れ、家賃の滞納分、親族からの借入れなども忘れずに記入します。
7.最終返済日
「最終返済日」と「一度も返済していない」のいずれかにチェックをします。
1回でも返済をしている場合は、最終返済日を記入します。
8.備考
備考欄には、具体的な担保の種類、債務名義(強制執行受諾文言付公正証書も含む。)の有無・種類、訴訟係属の有無、差し押さえ、仮差押えの有無を記入します。
また、これらがある場合には、その関係書類の写しを提出する必要があります。
債権者一覧表に漏れた債務は免責の対象外
債権者一覧表に記載するのを忘れてしまった場合、債務はどうなるのでしょうか?
破産の手続きが終わればすべての債務から解放されると思いがちですが、免責の対象になるのは、基本的に債権者一覧表に記載した債務だけになります。
したがって、故意に記載しない債権者があった場合、その債権は免責の対象になりませんから、せっかく自己破産をしても、取立てを免れることができません。