この記事では、財産目録の「書き方」と「財産の成り行き」について解説していきます。
自己破産をする場合、保有している多くの財産は弁済に充てられますが、一部ですが残すことも可能です。
財産目録とは
財産目録とは、自己破産手続を裁判所に申立てる際に提出する必要書類・資料の一つで、必ず提出しなければなりません。
財産目録には、申立て時に保有しているすべての財産を記載します。
自己破産には「同時廃止」と「管財事件」の2つがあります。
どちらの手続きになるかの基準の一つが「財産の有無」です。
すなわち、申立人の財産の有無を明らかにする「財産目録」の内容によって、同時廃止か管財事件かが決まります。
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財産目録の書き方
財産目録に記載すべき事項は、わかりやすくいうと、破産申し立ての時点で申立人が保有している財産のすべてです。
記載すべき事項は下記の6つなどです。
- 手持ちの現金
- 預貯金
- 加入している保険
- 退職金の見込の有無
- 有価証券
- 貸付金
など
しかし、具体的な記載項目は各地方裁判所によって若干異なるため、管轄の司法裁判所の定型の書式を用いるようにしましょう。
また、申立人が個人事業主である場合、または過去2年以内に事業を営んでいたことがある場合(会社の代表をふくむ)には、売掛金や在庫等、事業に関する資産も報告する必要があります。
裁判所に問い合わせる際、事業主である場合にはその旨を伝え、これに関する項目についても確認してみましょう。
自己破産をすると財産はどうなるのか
自己破産をすると借金がなくなるということは有名ですが、では保有している財産はどうなるのでしょうか?
自己破産をすると保有している財産は下記の3つの道をたどることになります。
- 弁済または配当の原資となるのが原則
- 一定の財産は残すことができる
- 自由財産の拡張
それぞれわかりやすく解説していきます。
1.弁済または配当の原資となるのが原則
プラスの財産がある場合、これらは基本的にすべて売却処分したうえで、各債権者への弁済(返済)、または配当の原資である「破産財団」に組み入れることになります。
もっとも、すべての財産が破産財団に組み入れの対象になるわけではありません。
2.一定の財産は残すことができる
すべての財産が破産財団とされ、家具や家電まで換価の対象とされてしまっては、申立人として自己破産ができても生活を送ることができなくなってしまいます。
そのため、破産法では一定の範囲について、破産手続き開始決定後でも債権者が差し押さえることができず、破産者が自由に管理・処分できる財産を認めています。
これを「自由財産」といいます。
具体的には、99万円以下の現金、破産開始決定後に取得した財産、差押えが禁止されている家具・家電等です。
具体的な事情で判断がわかれるケースもあるため、自由財産として手元に残せるかどうかは弁護士等に相談しましょう。
3.自由財産の拡張
破産手続き開始決定時に破産者が保有していた財産でも、破産開始手続き決定後に、破産者の申立てまたは裁判官の職権で自由財産の範囲が拡張される場合もあります。
自由財産が拡張されるのは、「破産者の生活状況や職種を考慮して、必要と認められる場合」とされていますから、申立てを行っても必ず認められるわけではない点に注意が必要です。