テクニカル分析

トレンドの発生が分かるテクニカル分析2選

トレンドの発生が分かるテクニカル分析2選

今後、トレンドがどれくらい続くのか、事前に的確に知る方法はありませんから、できれば上昇トレンドに入った初期に買い、下降トレンドに入った初期に売りたいと考えるのが普通です。

バンドを使うと、トレンドの方向、上下動の範囲の目安、トレンドの発生や方向転換を一度に知ることができるので便利です。


バンドは、価格推移に中心線を引き、その上下に一定のルールで決めた値幅分乖離した線を引きます。

上下の線に挟まれた領域が、帯のように見えるのでバンドと呼ばれます。

手法によっては、上下に2本ずつ線を引く方法や、中心線を引かない方法もあります。


中心線が右上がりなら上昇トレンド、右下がりなら下降トレンドと判断します。

中心線の傾きは、垂直に近いほどトレンドの勢いは強く、水平に近いほど弱いことを意味します。


中心線の上方に引かれた線が上値めど、下方に引かれた線が下値めどとなり、相場の基調がそれまでと同じなら、上下の線に挟まれたバンドの範囲内で推移します。


一方、価格が、片方の線にまとわりつくように推移したり、片方の線を押し広げるように推移する場合は、それまでとは違う新しい相場が始まったことを示唆します。

片方の線に絡んだら、必ず新しいトレンドが始まるとは限りませんが、新しいトレンドが始まるときには必ずこのような動きが見られますから注目します。





ボリンジャー・バンド(Bollinger Bands)

ボリンジャー・バンド(Bollinger Bands)

出典:OANDA ラボ


米国のジョン・ボリンジャーが考案した手法で、1988年頃に思いついたということです。


年齢別の人の伸長など、同一グループの値は平均値を中心としてベル型の分布をしていることが知られています。

これを正規分布といい、平均を中心として±1σ(シグマ、標準偏差)の区間に全体の約67%、±2σの区間に約95%が含まれるとされています。


価格推移も、上昇トレンドと下降トレンドの両方を含む長期間では、おおむね正規分布をしていると考えられています。

そこで、価格のσを求め、価格変動の範囲の目安や、トレンド転換の目安にします。


計算の仕方

$$上限線2=中心線+2×σ$$

$$上限線1=中心線+σ$$

$$中心線=TPの単純移動平均$$

$$下限線1=中心線-σ$$

$$下限線2=中心線-2×σ$$


TP=(高値+安値+終値)÷3(終値で代用することもある)

σ=STDEV.P(n-1前のTP:当日のTP)


移動平均やσの計算期間は任意ですが、考案者の推奨値は20です。

σの計算式の中のTP(ティピカル値)は、セル番地で指定します。


バンド幅

上昇トレンドでは、価格は中心線(単純移動平均)と±2σの間で往復するように推移します。

また、下降トレンドでは中心線と-2σの間で往復するように推移します。


価格推移のボラティリティ(値動きの荒さ)が小さいときは、-2σから+2σまでのバンドの幅は狭くなります。

これをスクイーズといいます。

急騰や急落も含め、ボラティリティが大きいときにはバンドの幅は拡大します。

これをエクスパンションといいます。


一直線に動くトレンドが長く続いたり、トレンドが転換する直前の場面では、スクイーズが起こることがよくあります。

一方、トレンドの大勢が転換した直前の場面では、エクスパンションが起こることがよくあります。

このように、スクイーズとエクスパンションをトレンドの状況を確認するシグナルになります。


バンド幅を中心線で割った値の推移を見ると、過去の状況や他銘柄の状況と比較することができます。


2σに到達したとき

上昇トレンドの中で価格が+2σに到達した場合は、短期間に買われすぎたシグナルで、自律調整となる可能性があります。

反対に、下降トレンドの中で価格が-2σに到達した場合は、短期間で売られすぎたシグナルで、自律反発となる可能性があります。

自立調整や自律反発は、急騰や急落の途中に見られる小さな反動のことで、長続きしません。


一方、上昇トレンドが長く続いた後に価格が-2σを下回った場面では、下降トレンドに転じた可能性があります。

このとき、長めの陰線が連続したり、窓を空けて下げる陰線が続くようなら、下降トレンドに転じた可能性が高いと警戒した方がよいでしょう。


反対に、下降トレンドが長く続いた後に価格が+2σを上回った場面では、上昇トレンドに転じた可能性があります。

このとき、長めの陽線が連続したり、窓を空けて上がる陽線が続き、さらに出来高が増加傾向となるようなら、上昇トレンドに転じた可能性が高いと考えるほうがよいでしょう。


新しいトレンドが始まると、過去のトレンドを基準に計算した±2σは役に立ちません。

このため、片方の2σを連続して押し広げるように推移することが起こります。

このような場面では、PTIやRWIなどのように、ボリンジャー・バンドとは発想が異なる指標を見て、判断が一致するかどうかを確認します。


ドンチャン・チャンネル(Donchian Channels)

ドンチャン・チャンネル(Donchian Channels)

出典:MQL5


ドンチャン・チャンネルは、リチャード・ドンチャンが考案したもので、タートルズの売買システムとしても知られています。


1983年に米国のリチャード・デニスは、優秀なトレーダーは天性のものか、それとも養成出来るのかを知るため、トレーダーを募集しました。

そして、ドンチャン・チャンネルをベースにした売買手法を教え、優れた投資収益を上げさせることに成功しました。

彼の教え子たちはタートルズ(亀)と呼ばれ、当時、大変話題になりました。


計算方法

【短期売買】
上方バンド2:直近20日間の高値
上方バンド1:直近10日間の高値
下方バンド1:直近10日間の安値
下方バンド2:直近20日間の安値

【長期売買】
上方バンド2:直近55日間の高値
上方バンド1:直近20日間の高値
下方バンド1:直近20日間の安値
下方バンド2:直近55日間の安値


過去何日間の高値や安値を参照して売買シグナルにするかは、バックテストをして、分析対象によって変更した方がよいでしょう。


他のバンドとは正反対の発想

短期売買では、上方バンド2を上回ったら買い建て、下方バンド1を下回ったら手仕舞います。

また、下方バンド2を下回ったら空売りし、上方バンド1を上回ったら清算します。

長期売買では、基準とする線の計算期間が単なるだけで、利用方法は同じです。


ボリンジャー・バンドでは、2αに到達したら反転の可能性があると考えますが、ドンチャン・チャンネルでは新しいトレンドが始まったと考えます。


ドンチャン・チャンネルの考え方は、日本のカギ足や海外のポイント・アンド・フィギュアに似ており、大きなトレンドをとらえるのに向いています。

その意味では参照期間は長めにし、長期の順張りへの利用を考える方がよいかもしれません。


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