産地として世界に出遅れていた日本ワインの快進撃がみれるのか!?
長野、山形、大阪の3府県が、地域ブランドを国が保護する「地理的表示(GI)」に6月末に同時指定され、ワイナリーの新設の動きが広がります。
従来は山梨と北海道の2地域だった日本ワインの地域ブランドを増やし、欧米などワイン先進国を追います。
地理的表示(GI)とは
GIは、地域の風土と結びついた特産品を国が保護する制度で、酒類は国税庁、農林水産物などは農林水産省が管轄します。
世界各国にもそれぞれ独自で類似の制度があります。
ワインの場合、ぶどうの品種や製法などが定められています。
日本ワインのGI指定はこれまで2013年指定の山梨県、18年の北海道だけでした。
国際競争力を高める
GI指定は、各地域の生産者らが国税庁長官に申し立てる流れです。
生産者全員の合意が必要などハードルは低くないですが、それでも生産者らがGI指定を目指す背景には、ワイン産地としてのブランド化を通じて国際競争力を高める狙いがあります。
ワイン愛好家は産地を重要視する
GI制度に基づき、ラベルに産地を表記すれば、消費者にワインの特徴をアピールできるほか、品質のお墨付きにもなります。
ワインは産地の気候や土壌が香りや味などを特徴づける面が大きく、消費者のワイン選びも産地が重要視されやすいです。
ワイン愛好家の多くは、産地をみながら、どの地域のワインを購入するかを判断しています。
ワイン特区によりワイナリーが広がってきた
08年に国が新規参入を後押しする「ワイン特区」を導入した効果もあり、日本でワイナリーは広がってきました。
国税庁の最新の調査によると、19年3月時点のワイナリー数は331場と、過去3年間では2割弱増えました。
GI指定の追加は、日本のワイナリーの活性化につながりそうです。
人材を育成する「千曲川ワインアカデミー」
長野県東御市の「千曲川ワインアカデミー」ではワイン関連の人材を育成しています。
同アカデミーはぶどう栽培やワイン醸造、ワイナリーの起業・経営など総合的な知識や技術を学ぶ日本初の民間ワインアカデミーとされ、卒業生は約150人です。
そのうち約50人はぶどう畑を営み、9人はワイナリーを設立しました。
今夏には著名ソムリエの講義もあり、20人超の受講生が参加していました。
山形県のブドウが人気
山形県のワイン用ぶどうは県外のワイナリーからの引き合いが強く、生産量に占める県外出荷割合が3分の1と全国で最も高いです。
県内ではぶどう農家を引き継いでワイナリーの設立を計画する動きも出てきたといいます。
大阪府は指定の5道府県のなかで生産量は最も少ないです。
ただ、実はワイン造りの歴史は古く、安土桃山時代にブドウ酒らしき酒が造られていたとの記録があるほか、昭和初期にはぶどうの栽培面積が山梨県を抜いて日本一だったとされます。
大阪ワイナリー協会は大阪ワインを紹介するネット動画を公開するなど、魅力をアピールしています。
世界で評価を受ける日本産ワイン
近年では国際的なワインコンクールで日本ワインが上位入賞することも増えてきました。
世界最大級のワインコンクール「デカンター・ワールド・ワイン・アワード2021」では「白百合醸造(山梨県甲州市)」と「ルミエール(同県笛吹市)」の白ワインがそれぞれ初めて上位賞にあたるプラチナ賞を受賞しました。
日本ソムリエ協会の田崎真也会長は「日本ワインに求められるのは個性だ」と国際競争力の向上に向けた課題をこう指摘しています。
GI指定の広がりは「ワイン後進国」返上に向けたステップとなり、生産者はその土地の個性を引き出した珠玉の一杯に情熱を注いでいます。
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