日本銀行は2022年12月20日、金融政策決定会合を開き、緩和策の一つとして抑えてきた長期金利の上限を、これまでの「0・25%程度」から「0・5%程度」へ引き上げました。
大規模緩和の修正を決めたことで、住宅ローン金利の行方に注目が集まっています。
これによって、長期金利の上昇で固定型には上方圧力がかかってきます。
一方で、約9割が契約する変動型は連動する短期金利が変わっていないために影響は限られるとの見方が多いです。
変動型では金融機関の競争が激しさを増しており、当面は低下傾向が続くことになりそうです。
詳しく解説していきます。
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住宅ローン金利には大きく変動型と固定型がある
日銀は長期金利の上限を0.25%程度から0.5%程度に拡大すると発表しました。
これを受け、金融機関には「住宅ローン金利は上がるのか」といった問い合わせが相次いでいます。
住宅ローン金利には大きく変動型と固定型があります。
変動型は短期金利に、固定型は長期金利に連動します。
今回の日銀の見直しで直接的に影響を受けるのは固定型です。
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固定金利は上昇する
日銀の発表を受けて21日には長期金利が0.48%まで上昇しました。
上昇幅は2日間で0.23%に達しており、各行が12月末に公表する23年1月の固定金利は上げざるを得ないのではないかとの声があっています。
12月時点で35年固定の「フラット35」は年1.65%です。
過去に長期金利が0.5%程度だった時期と照らし合わせると、今後2%程度まで上がるとの観測もあります。
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変動金利に影響が出ることはない
一方の変動金利は金融機関が企業にお金を貸すときの最優遇貸出金利である「短期プライムレート」に連動します。
短期プライムレートはおよそ14年にわたり据え置かれており、影響を受ける変動金利の基準金利は年2.475%で変わっていません。
14年前の日銀の短期金利の誘導目標は0.1%でした。
日銀がマイナス金利政策を撤廃したとしても、基準金利を見直す理由にはなりません。
今回の政策修正で変動金利に影響が出ることはまずありません。
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【変動金利のリスク】変動金利で借りた人の返済の注意点
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今後契約する人の変動金利は高くなる
変動型では実際に顧客が支払う適用金利が最低年0.3%前後となっています。
適用金利は基準金利(年2.475%)から各金融機関の優遇金利を差し引いて決まります。
すでに住宅ローンを契約する人の場合、返済期間中に優遇金利が変わることはないので、基準金利が見直されない限り返済負担は増えません。
一方、新規でローンを組む場合、金融機関の優遇金利の見直しで新たに組むローンの金利は変動する可能性があります。
変動型では金融機関の競争が激しい
近年はネット銀行が金利競争を仕掛ける形で、メガバンクも人件費や運営の効率化で優遇幅を広げて対抗しています。
その結果、適用金利が歴史的な水準まで下がってきた経緯があります。
このため、もし基準金利が上がったとしても、他行が先陣を切らない限りは上げられる状況にはありません。
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変動金利の「5年ルール」と「125%ルール」
もっとも契約者は変動型のリスクを理解しておく必要もあります。
多くの金融機関ではどんなに金利が変動しても、5年間は返済額を一定にする「5年ルール」があるからです(元利均等返済の場合)。
また、5年ごとの返済額見直しの際には、金利がどんなに上昇しても最高1.25倍を限度とする「125%」が適用されます。
ただし、1125%を超える分については、次の5年以降に先送りされます。
これら2つのルールは、導入していない金融機関もあるので注意が必要です。
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まとめ
日銀は長期金利の上限を0.25%程度から0.5%程度に拡大すると発表しました。
これを受け、金融機関には「住宅ローン金利は上がるのか」といった問い合わせが相次いでいます。
変動型は短期金利に、固定型は長期金利に連動します。
日銀の発表を受けて長期金利が0.48%まで上昇しました。
各行が12月末に公表する23年1月の固定金利は上げざるを得ないのではないかとの声があっています。
一方で短期プライムレートはおよそ14年にわたり据え置かれており、影響を受ける変動金利の基準金利は年2.475%で変わっていません。
今回の政策修正で変動金利に影響が出ることはまずありません。
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