フラット35の派生商品として、 2009 年の経済対策をきっかけに登場した住宅ローンが「フラット50」です。
文字通り、返済期間が最長50年と長期にわたるのが最大の特徴ですが、利用にあたっては商品性を十分に理解することが重要です。
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フラット50の商品概要
融資対象 | 長期優良住宅など(長期優良住宅認定通知書等の提出が必要)。中古住宅も要件を満たせば可能 |
返済期限 | 36年~50年(「80歳−現在の年齢」が上限※1) |
利用対象の年齢要件 | 満44歳以下※1 |
融資限度額 | 8,000万円(購入価額等の9割以内) |
他のフラットとの併用 | 【フラット50】の借入額は物件価格の9割までですが、【フラット35】または【フラット20】を併用すれば、物件価格までの借入れを希望することが可能になります※2 |
金利水準 | フラット35よりも高い |
金利優遇 | 「フラット35 S (金利Aプラン)」の適用対象であるため、同じ優遇措置(当初10年間は▲0.25%)が受けられる |
借り換え | 利用できない |
全期間固定金利 | 資金の受取時に、返済終了までの借入金利と返済額が確定します |
住宅ローン付きで売却が可能 | 【フラット50】は金利引継特約が付いています。【フラット50】の返済中に融資物件を売却する場合に、その物件を購入する方に【フラット50】の債務を引き継ぐことができます |
その他 | 上記以外は、おおむね「フラット35 S」と同じ |
※1親子リレー返済を利用する場合を除く。
※2合計の融資率が9割を超えると、全体の適用金利が高くなる。
フラット50は長期優良住宅が対象
長期優良住宅の取得時に、長期50年返済で利用できるのが「フラット50」という住宅ローンです。
2020 年 5 月時点では、住宅金融支援機構のHPによると、全国で79の金融機関が取り扱っています。
返済終了時の年齢が80歳までとなっているため、親が借りて子供等が返済を引き継ぐ「親子リレー返済」を利用する場合を除くと、44歳以下の人しか借りれません。
また、最長返済期限である50年返済が利用できるのも、30歳未満(80歳−50年)の場合に限定されることになります。
融資金利は、超長期金利の水準をベースに取扱機関が設定します。
長期優良住宅が融資対象なので「フラット35 S (金利Aプラン)」の適用も受けられ、借入当初10年間は融資金利が0.25%引き下げられます。
2019 年 10 月以降、融資率の上限(購入価額等の6割⇨9割)と、融資限度額(6,000万円⇨8,000万円)がともに引き上げられたため、利用しやすくなりました。
とはいえ、対象となる住宅自体が多くないことや、デフレが続く昨今では、利用者は限定されます。
長期優良住宅認定制度の基準
長期優良住宅とは、平成21年にスタートした「長期優良住宅認定制度」の基準をクリアし、認定を受けている、長く安心して・快適に暮らせる家のことです。
新築一戸建ての場合、下記の項目に該当する必要があります。
- バリアフリー性
将来のバリアフリーリフォームに対応できるようになっている - 可変性
ライフスタイルの変化に応じて間取り変更などが可能になっている - 耐震性
極めてまれに発生する地震に対し、継続して住むための改修の容易化を図るため、損傷レベルの低減を図る(耐震等級2以上または免震建築物など) - 省エネルギー性
次世代省エネルギー基準に適合するために必要な断熱性能などを確保している(省エネルギー対策等級4以上) - 居住環境
良好な景観の形成や、地域における居住環境の維持・向上に配慮されている - 維持保全計画
定期的な点検、補修等に関する計画が策定されている - 維持管理・更新の容易性
構造躯体に比べて耐用年数が短い内装や設備について、維持管理を容易に行うために必要な措置が講じられている - 劣化対策
数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できる(床下空間330mm以上確保、劣化対策等級3相当) - 住戸面積
一戸建ては75m2以上、少なくとも一つのフロアの床面積が40m2以上ある
フラット50はインフレが起これば有利
「フラット50」の最大の注意点は、返済期限の長さゆえ、将来的なローン残高の減り方が非常に緩やかだという点です。
そのため頭金が少ないケースでは、将来的に売却する際に、ローン残高が売却代金を上回る危険性があることは認識しておきましょう。
では、「フラット50」を利用するメリットがあるとしたら、それは何でしょうか。
答えは、将来的に急速なインフレとなった場合に、貨幣価値の下落によってローン残高や返済額の実質的な負担が減る、という点です。
また、すべての「フラット50」は、従来から「金利引き継ぎ特約」(=将来、住宅を売却するときに、購入者が希望すればローン債務が引き継げる特約)がついていますので、金利上昇が起きた場合は低金利ローンの付いた魅力的な物件として人気が出るかもしれません。
ただし、その際にはもちろん機構による審査もありますし、繰り上げ返済や借入から長期間が過ぎたことでローン残高が減っているとメリットも低下します。
融資を引き継ぐだけでは購入資金が足りない可能性もあります。
住宅金融支援機構によれば、このような場合は新規で借りる「フラット35」などとの併用もできます。
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