株主還元、「配当金」と「自社株買い」の７つの違いを解説

ビギナー

株主還元の「配当金」と「自社株買い」にはどのような違いがあるの？

「配当金」と「自社株買い」には７つの違いがあります。どちらの方が自分の投資スタイル合っているのか知っておくことは重要です

筆者

この記事では、株主還元の「配当金」と「自社株買い」の違いについて解説していきます。


株主還元には他にも株主優待がありますが、ここでは割愛します。

「配当金」と「自社株買い」の違い７つ

配当金と自社株買いの違いは下記の７つです。

それぞれわかりやすく説明していきます。

その①：流通株数

配当金と自社株買いの違いに「流通株数」があります。


配当は流通株数には影響は与えませんが、自社株買いをすると、企業が購入した分だけ流通株数は減少します。

その②：株価水準

配当金と自社株買いの違いに「株価水準」があります。


配当は株価が高くても低くても株価に関係なく行うことができますが、自社株買いは理論株価よりも実際の株価が低いときに行うのが原則です。

その③：株価への影響

配当金と自社株買いの違いに「株価への影響」があります。


配当は一般に増配の場合は株価の上昇、減配の場合は株価の下落につながります。

一方、自社株買いは一般に株価の上昇につながります。

その④：メリットを受ける範囲

配当金と自社株買いの違いに「メリットを受ける範囲」があります。


配当は、現在の株主にだけメリットがありますが、自社株買いの場合は、将来その企業の株式を購入することができる権利である新株予約権（ストックオプションの場合の株式購入の権利や、ワラント、転換社債の転換部分などの総称）などを保有している潜在株主の権利の価値も高めることにつながるため、新株予約権保有者にとってもメリットがあります。

その⑤：機動的に行えるかどうか

配当金と自社株買いの違いに「機動的に行えるかどうかどうか」があります。


機動的に行えるかどうかの点については、配当は基本的に安定断続が求められるので、あまり機動的に行うことは望ましくありません。

一方、自社株買いは、企業の資金余裕度や株価の動向などを見ながら機動的に行うことが可能です。

その⑥：株主がキャッシュを受け取れるかどうか

配当金と自社株買いの違いに「株主がキャッシュを受け取れるかどうか」があります。


配当の場合は、株主が実際にキャッシュを受け取ります。

一方、自社株買いの場合は、株式を売却した場合には株主がキャッシュを受け取ることになりますが、株式を売却しなかった場合には、流通する株数が減ったり、株価が上昇したりして株式としての価値は上昇したとしてもキャッシュを受け取ることはありません。

その⑦：株主に対する課税

配当金と自社株買いの違いに「株主に対する課税」があります。


配当の場合は、株主は受け取った配当金額に対してルールに従って税金を支払う必要があります。

一方、自社株買いの場合は、株式を売却した株主の場合は売却益があれば税金を支払う必要がありますが、それ以外の売却をしなかった株主は、株式としての価値は高くなったとしても税金を支払う必要はありません。

まとめ

上記のように、配当と自社株買いにさまざまな違いがあります。


そうした違いを総合的に考えると、企業の財務的な安定性や成長ステージ、また配当性向やキャッシュフローの水準などをもとに適切だと考えられる配当を断続的に行ったうえで、さらに資金的な余裕がある場合にタイミングを見ながら追加で自社株買いを行っていく、というのがわかりやすい方針です。