総資本回転率とは？総資本回転率の目安と計算式

読者さん

株式の購入を考えている会社が、ちゃんと働いているか知りたい。

保有している資源を有効活用している会社は、忙しく働いているといえます。

ガイドさん

この記事では、ファンダメンタル分析の一つ、「総資本回転率」について解説していきます。


総資本回転率を理解すれば、企業の「収益性」を知ることができます。

総資本回転率とは

総資本回転率とは、「総資本」と 「売上高」の比率を表したものです。


金額ではなく、比率としてあらわすことによって、他社と比較することが可能になます。

総資本回転率を見れば、ライバル企業と比べて「優れているのか」「劣っているのか」が、ひと目でわかります。


総資本回転率は、現金や設備といった会社の資源をどれだけ有効に利用したかをあらわす指標です。


会社の事業活動は、資本金で商品を作り、その商品を販売して資本金を手に入れるというサイクルを繰り返します。

このサイクルが決算期間中になん回転したかを見る指標が「総資本回転率」です。


総資本回転率が高いということは、会社の資源を有効に利用したので、多くの売上高を上げることができたことを意味しています。

総資本回転率が大きければ大きいほど効率のよい会社で、少ない元手で多くの売上を上げている会社であるといえます。

総資本とは

総資本回転率を求める計算式に必要な、「総資本」を説明していきます。


総資本とは、会社が外部から調達した借入金や社債などの「他人資本」と、株主が出資した資本金や過去の利益の蓄積などの「自己資本」を合計した金額です。

総資本は総資産に対する概念のことで、貸借対照表の負債と純資産の合計金額です。

売上高とは

総資本回転率を求める計算式に必要な、「売上高」を説明していきます。


売上高とは、企業の主たる商品やサービスを提供することによって得られた売上の合計額です。売上と呼ばれることもあります。

例えば、単価が100円で販売している商品が1つ売れると、売上高は100円となります。また、決算期間（ある1年間）に商品が10個売れると、1,000円の売上高が計上されます。

総資本回転率の計算式

総資本回転率の計算式は下記のとおりです。

総資本回転率が高いほど、現金や設備といった会社の資源を有効的に利用しているといえます。

一方、低い場合は、会社の資源を有効的に活用できていないことになります。違う見方をすれば、改善の余地があり、業績を伸ばせる可能性があるともいえます。

総資本回転率を実際に計算してみる

総資本回転率を求める計算を実際にしてみましょう。


計算式に必要な「売上高」は『損益計算書』に記載されています。「総資本」は『貸借対照表』に記載されています。

損益計算書と貸借対照表は、会社のホームページへ行き、IR情報から確認できます。


今回は、トヨタ自動車の決算書を使って売上高営業利益率を計算していきます。

2019年3月期 決算短信〔米国基準〕（連結）

トヨタ自動車の総資本回転率は0.58回転でした。

総資本回転率の目安と業界平均

業種によって総資本回転率の平均は異なるので、他の会社と比較するときは同業種で行う必要があります。

業種別の平均値を知ることで、企業に求められる総資本回転率の目安がわかります。


主な業種の総資本回転率は下記のとおりです。

利益率の低い小売業や卸売業は仕入と販売を短い期間で繰り返すため、ほかの業種に比べて高くなります。


反対に、総資産回転率が低い業種は、不動産業・物品賃貸業です。

不動産業は、建物や土地などの高額な資産を保有しているため総資産が大きくなります。それに対して売上高は、不動産販売の売上もありますが、賃貸売上がほとんどのため総資産に比べると売上高は小さくなります。

その結果、総資産回転率が低くなります。

総資本回転率を比較する

総資本回転率を他社と比較する方法を解説していきます。比較する会社には、ふさわしい会社を選ぶ必要があります。

比較会社は会社四季報で確認できる

目当ての会社を他社と比較するときに便利なのが、「会社四季報」です。


会社を比較するときに重要なのが、「同業種」であることと「会社規模」が近いことになります。


会社四季報には、上記の条件に当てはまるライバル企業を掲載しています。

総資本回転率を実際に比較してみる

総資本回転率を使って実際に比較してみましょう。


トヨタ自動車の場合、比較会社は「日産自動車」「ホンダ」「スズキ」になります。

比較データは2019年の1年間です。

トヨタ自動車は比較会社の中で一番低い結果になりました。


保有している現金や設備といった会社の資源を、有効的に活用できていないということになります。

まとめ

総資本回転率とは、現金や設備といった会社の資源をどれだけ有効に利用したかをあらわす指標です。

総資本回転率が高いということは、会社の資源を有効に利用したので、多くの売上高を上げることができたことを意味しています。


業種によって総資本回転率は異なるので、他の会社と比較するときは同業種で行う必要があります。