住宅ローン

【まとめ】住宅ローンの借入先の種類とその特徴をわかりやすく解説

【まとめ】住宅ローンの借入先の種類と特徴をわかりやすく解説

この記事では、「住宅ローン借入先の種類」を解説していきます。


住宅ローンの借入先は「民間ローン」と「公的ローン」で大きく9系統あります。


借入先によって、金利が低めだったり審査が厳しかったりと特徴があります。

それぞれの特徴を理解することによって住宅ローン選びのヒントになるはずです。


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住宅ローンは「民間ローン」と「公的ローン」に分かれる

住宅ローンは「民間ローン」と「公的ローン」に分かれる

住宅ローンの借入先は、「公的ローン」と「民間ローン」の2つに分けられます。

一般的に住宅ローンをイメージすると金融機関の住宅ローンかと思いますが、これは民間ローンに当たります。そして、公的ローンとして代表的なのが、フラット35などになります。


まずはザックリと民間住宅ローンと公的住宅ローンの種類を下表にまとめておきます。その後詳細を解説していきます。

借入先 金利タイプ 特徴




都市銀行
信託銀行
変動金利型
固定期間選択型
全期間固定金利型
・金利競争が激しいため金利が低めだが、審査基準は厳しい傾向。都市圏在住者には支店も多く、便利な存在
・ネットバンキングにも力を入れてきており、パソコンで住宅ローンをもし込めば金利が優遇されるプランもある
地方銀行 ・金利は若干高め。有力な地銀が複数ある県では、店頭金利は地域によって差がある。顧客獲得のためのキャンペーン合戦も展開
・地元密着型の金融機関なので、相談に対応してもらえやすい
ネット銀行 ・実店舗がないぶん、金利は低めだが、審査は厳しい。個人の事情が勘案されにくい面があるので、必要書類について自分でよく理解しておく必要がある
・対面で相談できる店舗を出店したり、団信特約などさまざまな特典を付けるケースが増えてきている
信用金庫
信用組合
変動金利型
固定期間選択型
・メインバンクとして使う人が多くないので、住宅ローンの申し込みを歓迎してくれる場合もある。大手銀行のように金利の低さは期待できない
労働金庫
JAバンク
変動金利型
固定期間選択型
全期間固定金利型
・労働金庫の住宅ローンは審査基準が比較的緩やかで、組合員であれば金利等の優遇がある。非組合員でも一定の条件を満たせば利用できる
・JAの組合会員向けの住宅ローンは農家以外でも組合費を納めて準組合員になれば利用できるケースも。土地のみの購入や住宅の増改築・リフォーム向けや、特約も拡充。子育て世代を応援する住宅ローンもある
ノンバンク ・住宅ローン専門会社・信販会社・クレジット会社などがある。最近はハウスメーカーなどがモーゲージ・バンカーを設立し、長期固定金利型のローンを提供している




フラット35 全期間固定金利型 ・受託金融支援機構による長期固定金利型住宅ローン。申込要件など、おもな商品概要は全国共通だが、ローンを提供するのは民間の金融機関
・住宅金融支援機構による住宅ローン債権の商品化の仕組みを利用した長期固定金利型のローン。金利は金融機関によって異なる
・融資額は物件価格90%まで(最高8,000万円)。ただし、機構が定めた技術基準をクリアする必要がある。保証料は不要。繰り上げ返済時の手数料も無料
・団信への加入は任意
財形住宅融資 5年固定金利型 財形貯蓄を1年以上継続し、貯蓄残高50万円以上ある人を対象とした融資(財形貯蓄残高の10倍の額で最高4000万円まで融資)。事務手数料は無料
自治体融資 さまざま かつては公庫融資と遜色ないほど有利な条件でしたが、地方自治体の財源問題などの影響から現在ではほとんど消滅状態



住宅ローンの借入先の種類とその特徴

住宅ローンの種類と特徴

ここからは、住宅ローンの借入先の種類とその特徴を解説していきます。

住宅ローンの借入先はおもに下記の9つです。なお、特徴の近いものは一緒にまとめています。

  1. 都市銀行・信託銀行の住宅ローンの特徴
  2. 地方銀行・信用金庫の住宅ローンの特徴
  3. ネット銀行の住宅ローンの特徴
  4. 労働金庫の住宅ローンの特徴
  5. JA(農協)の住宅ローンの特徴
  6. 全期間固定金利型のフラット35の特徴
  7. 「フラット35」「フラット35 S」「フラット35(リフォーム一体型)」の違い
  8. フラット35と民間住宅ローンを併用するメリット
  9. 財形住宅融資の特徴


それぞれわかりやすく解説していきます。


都市銀行・信託銀行の住宅ローンの特徴

都市銀行・信託銀行の住宅ローンの特徴

この記事では、「都市銀行・信託銀行の住宅ローンの特徴」を解説していきます。


都市銀行とは、普通銀行のなかで、東京や大阪などの大都市に本店を構え、広域展開している銀行のことです。略して都銀(とぎん)と呼ばれたりもします。


信託銀行とは、「銀行業務」のほかに「信託業務」と「併営業務」を行っている銀行のことです。

信託業務とは、信託銀行等の信託兼営金融機関や信託会社が、個人や企業などの法人が持つ財産を信託の設定により受託者に移転させて、その財産を管理・運用することを指します。

併営業務とは、遺言の保管や遺言執行業務などの相続関連業務、企業の株主の名簿を管理する業務などの証券代行業務、不動産の売買の仲介業務などのことを指します。


住宅ローンは一般的に、購入する物件が支店等のエリア内にあることが条件とされています。

そのため、全国津々浦々に支店を持つ三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行などの都市銀行や信託銀行は住宅ローンの借入先の筆頭になります。


審査は基準は緩く、結果も早い

都市銀行の住宅ローンは、販売会社や不動産会社の提携ローンとして採用されることも多く、安心して利用できるイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。


都市銀行で住宅ローンを借りる場合、特徴として真っ先に挙げられるのは、店舗数が多く、手続きをするのに便利な点です。

対面で相談できる住宅ローンセンターや、電話での無料相談窓口も設置されていて、わからない点を確認しやすいところは、ネット銀行等にはない強みといえます。


規模が大きいだけに、審査が厳しいというイメージがあるかもしれませんが、ネット銀行などに比べると通りやすくなっています。

保証会社が付きますし(ネット銀行では付いていないところも多い)、規模が大きいぶん逆に顧客の獲得に積極的だからです。


審査のスピードについても、ほかの金融機関よりも早めです。

事前審査であれば、多くの場合申し込んだ翌日~3営業日以内に結果が出ます。


また、自分や勤務先がその銀行の得意先なら、交渉の結果次第で好条件のローンが組める可能性もあります。

このような融資のよさも、ネット銀行にはない大きなメリットとなります。

給与の振込口座として利用しているだけでも、審査で差が出ることもあるので、マイホームの購入を考えた時点で口座を作っておくとよいでしょう。



金利は低めに設定されている

マイナス金利が導入された2016年2月以降、主要な大手銀行が住宅ローンの金利を下げ始めました。


たとえば、10年固定金利の場合、同年2月に三井住友銀行が1.05%➝0.9%へ引き下げたのを皮切りに、2月18日にりそな銀行が、2月22日にみずほ銀行が同じく引き下げを行い各銀行での競争が始まりました。


それ以降も住宅ローンの超低金利を続いています。

企業の貸出残高に伸び悩む銀行にとっては、住宅ローンの顧客は重要な収益源ですし、長期にわたり安定した経営をもたらします。


ただし、自営業者などには審査が厳しくなり、自己資金が20%以上ないと最優遇金利を受けられないところもあります。

自営業者なら地銀、信金、信組などのほうが審査が通りやすいでしょう。


ネットで申込めば金利が優遇

どの都市銀行も、昨今はネットからの申し込みの受付に力を入れています。

パソコン経由で住宅ローンを申し込めば金利が優遇されるプランもあります。


たとえば、、みずほ銀行では、店頭で申し込むのと、ネット経由で申し込むのでは、変動金利と固定期間選択型の優遇金利が0.025%の差があります。


よくわからなければ、詳しい説明は店頭で聞き、申込はネット経由で行うことで、店舗を多く構えている都市銀行の強味を活用できます。



都市銀行のメリット・デメリット

都市銀行のメリット
  • 店舗が多いため、手続きの不便が少ない。住宅ローンセンターなどで情報収集ができる
  • 豊富な商品のなかから自分に合った商品を選べる
  • 審査の結果が出るのが早い
  • 窓口や電話での対応が定年で親切
  • ネット経由でも申し込みが行え、店舗での申し込みより金利が優遇されるところもある


都市銀行のデメリット
  • 商品名がわかりづらい。どれが得なのかよくわからない
  • 商品が多く、説明を聞かないと内容が不明
  • 自営業者の場合、審査が厳しい


都市銀行・信託銀行の住宅ローンの特徴

この記事では、「都市銀行・信託銀行の住宅ローンの特徴」を解説していきます。都市銀行とは、普通銀行のなかで、東京や大阪などの大都市に本店を構え、広域展開している銀行のことです。略して都銀(とぎん)と呼ば ...

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地方銀行・信用金庫の住宅ローンの特徴

地方銀行・信用金庫の住宅ローンの特徴

この記事では、「地方銀行・信用金庫の住宅ローンの特徴」について解説していきます。


地方銀行とは、各都道府県に本店がある銀行で、地域経済に大きな影響力を持つ金融機関です。
地元の企業や住民、行政機関などとの取引や関係構築などを通じ、地元に稠密な営業ネットワークを張っています。


信用金庫は、地方銀行よりも更に地域に根付いた金融機関です。
厳密には銀行とは異なる経営形態で、利用者(預金者)が出資者となり、互いに地域の繁栄を図る、相互扶助を目的とする協同組織型の金融機関です。


地域によって金利差が激しい

各都道府県の県庁所在地などに本店を構え、地域密着型の事業を行っている銀行を地方銀行といいます。


一番の特徴は各地域での競争具合によって、金利さが大きいことです。

変動金利の店頭金利を例にとっても、都市銀行が横並びで2.675%前後であるのに対して、地方銀行では、2.675%、なかには3.075%というところも珍しくありません。

もちろん優遇幅もさまざまです。


たとえば、名古屋を中心とする経済圏においては、愛知県内の地銀や信用金庫だけでなく、岐阜県や三重県の金融機関も巻き込んだ激しい競争が繰り広げられていて、店頭に掲げる最優遇金利をさらに割り引くいわゆる「名古屋金利」が浸透しています。


また、関西以外の西日本では特に変動金利を中心に金利水準が高めの傾向にあります。

また金利優遇の条件として、預金残高などの取引内容をポイント制にして算出しているところもあり、最優遇金利での借り入れが難しいケースもあります。


競争の激しい地域では、ある銀行が特別金利の商品を出すと、別の銀行が対抗してさらに安い商品を出すなど、キャンペーンを行ったり付帯サービスを付けたりの競争が盛んです。


がん保証付きの団信の特約は、通常は金利に上乗せすることで付けられますが、地方銀行によっては、こうした特約を無料で付けるキャンペーンを行っているところもあります。


このようなキャンペーン商品は量的な制限があり、申込期間も限定されているため、チャンスを見逃さないように日頃のチェックが必要になります。


個別の事情に合わせて柔軟に対応してもらえる

都市銀行の住宅ローンが都心在住者を主な顧客にしているのに対し、地方銀行は地元に密着したサービスが期待できる借入先です。

現実的にも、戸建などでは特に実際の建物等の確認が必要になるため、近くの金融機関のほうが簡単に手続きが進みます。


地方銀行の住宅ローンの申し込み手続きは、店舗の窓口が基本ですが、申込者の自宅で行うこともあります。

融通の利きやすさでいえば都市銀行に比べて、断然、地方銀行の方が親身になって対応してもらえます。

審査は申込者を一律の基準で判断するのではなく、個々の事情に耳を傾け、できるだけ通るように働きかけてくれます。


たとえば、都市銀行であれば、転職したてのため、申込の対象にならないような場合でも、その地方銀行と転職先の会社の間に取引関係があり、経営が安定していることが確認できれば「例外的」に審査に対応してくれるようなこともあります。


また、仮に金利1.5%で審査が通らなかった場合、「1.7%なら」といった提案をしてくれたり、貯蓄型の生命保険などに加入しているか否かなど、正規の判断材料とは別の要素を考慮して、金利等も判断してもらえることもあります。


同じく地域密着という面では信用金庫もあります。

一般的に金利は高めですが、個人事業主や小さな会社の経営者などで、その信用金庫で定期積立を行っているような場合等では、審査自体は通りやすいです。


また、普段、信用金庫をメインバンクにしているどころか、口座を開いている人が少ないため、住宅ローンを申し込みに行けば、歓迎されることが多いです。


地方銀行・信用金庫のメリット・デメリット

地方銀行・信用金庫のメリット
  • 顧客獲得競争が激しい地域では、金利が安い
  • 地元密着型のため、都市銀行等とは違って、なるべく審査に通るように働きかけてくれる
  • すでに給与振込口座を設けていたりする場合は、面倒が少なくて済む
  • 個人事業主などで、定期積立などを行っていて信頼が構築されている場合は審査が通りやすい


地方銀行・信用金庫のデメリット
  • 都市銀行やネット銀行に比べると金利が高い
  • 特に競合のない地域では、金利が高めに設定されやすい
  • 都市銀行ほどネット対応が進んでいないので、店舗に出向くことが多くなる


地方銀行・信用金庫の住宅ローンの特徴

この記事では、「地方銀行・信用金庫の住宅ローンの特徴」について解説していきます。地方銀行とは、各都道府県に本店がある銀行で、地域経済に大きな影響力を持つ金融機関です。地元の企業や住民、行政機関などとの ...

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ネット銀行の住宅ローンの特徴

【民間住宅ローン】ネット銀行の住宅ローン事情をわかりやすく解説

店舗網を持たず、インターネット上での経営活動に特化している「ネット銀行」などの住宅ローンは、金利水準の低さなどが人気です。


ただし、申込みから司法書士への登記依頼まで、インターネットや郵送でやり取りを行い、自力で手続きをする必要があります。


金利は最安値クラスだが、事務手数料は高め

ネット銀行は無店舗でのサービス展開により運営コストを安くし、事務手数料や金利など有利な条件を提示することで、特色を出してきました。


しかし、住宅ローンの金利が下がり、大手銀行もネット銀行とほぼ同等の金利を打ち出すようになってからは、金利だけで勝負するのが難しくなっています。


もう一つのネット銀行の特徴と言えば、窓口に出向く必要がなく、インターネットでのやり取りで申込みから契約まで完了できることでしたが、最近は対面で相談できる店舗を出すなどして、巻き返しを図っています。


とはいえ、ほかの金融機関より審査が難しく、申込者を選びます。

保証料なしというケースが多い一方で、事務手数料が数十万円になることもあるため、トータルコストの確認が必要です。


金利が低い代わりにデメリットもある

デメリットとしては、金利が低いぶん、審査に慎重を期すため、結果が出るまでに時間がかかる点が掲げられます。

落ちてから新たに申し込み直すのは時間がかかるため、ネット銀行が第一候補でも、同時に都市銀行や地方銀行にも申込んでおきましょう。


もう一つのデメリットはネットゆえに、申込から手続きまで、すべて自力で行う必要があることです。


ネット銀行のメリット・デメリット

ネット銀行のメリット
  • ほかの金融機関に比べて、金利が低い
  • 窓口に行く必要がなく、インターネットでのやり取りでほぼ完結できる
  • リアル店舗を出すところも出てくるなど、サポート・サービス内容も向上している


ネット銀行のデメリット
  • 年収基準など、審査が厳しい
  • 審査にかかる時間が長い
  • 実店舗が少なく、やり取りは主に電話
  • 保証料なしでも、代わりに事務手数料などの諸費用が高い
  • 申し込みから契約まで、すべて自分で行わなければいけない
  • 対面でやり取りできないため、融通が利かない


ネット銀行の住宅ローンの特徴

店舗網を持たず、インターネット上での経営活動に特化している「ネット銀行」などの住宅ローンは、金利水準の低さなどが人気です。ただし、申込みから司法書士への登記依頼まで、インターネットや郵送でやり取りを行 ...

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労働金庫の住宅ローンの特徴

【民間住宅ローン】労働金庫それぞれの対象地域や金利をわかりやすく解説

労働金庫は、労働組合員の福利厚生のために設立された金融機関で、現在では全国13の労働金庫が、他の金融機関と同じく、預金やローンなどを取り扱っています。


労組の組合員でなくても住宅ローンが利用でき、地域によっては有利な条件も提示されています。


労働金庫(ろうきん)の特徴

労働金庫の各種サービスは、原則的には加盟労組の組合員を対象としていますが、一般の人もおおむね利用できます。

住宅ローンについては、下記の条件のように、各地の労働金庫によって対応が異なります。

  1. 生協の組合員やろうきんの個人会員になれば利用できる
  2. 各労金の営業エリア内に自宅や職場があれば利用できる
  3. 自営業者でも個人会員になれば利用できる


利用を検討する場合は、しっかりと確認しておきましょう。


また、金利水準や保証料の有無(および負担水準)なども、加盟労組の組合員であるかどうかによって違うのが一般的です。


最優遇金利の適用は組合員のみ

労働金庫の住宅ローンの特徴として知っておきたいのは、まず、労働金庫ごとに金利や事務手数料が異なることです。

つまり、申し込みにあたっては、自分の住まいを管轄する労働金庫の利用条件を確認しなければなりません。


もう一つの注意点は、金利の優遇を受けるには条件があることです。

この条件も労働金庫によって異なりますが、たとえば、中央労金の場合、下記の2つの各カテゴリーの中で、どれか一つずつ該当することが条件となっています。


〈取引引き下げⅠ〉

  1. 労働金庫の口座を給与振込口座に指定している
  2. 財形貯蓄またはエース預金を行っている


取引引き下げⅡ

  1. カードローン(マイプラン)を利用している
  2. 労働金庫の口座から公共料金2種類以上の引き落としを行っている
  3. ダイレクトバイキングを利用している


さらに、これらに加えて組合員だと、プラス0.15%の優遇が受けられます。

逆に言うと組合員でないと最優遇金利は適用されません。


金利などの条件は地域で異なる

以前から、住宅ローンの金利水準や、金利の設定方式などは、各地の労働金庫によって大きく異なっています。

共通するのは年収が150万円以上などで申込めるのと、審査の基準が基本的には緩やかな点です。

また、多くの場合は一部繰り上げ返済や、全額繰上げ返済の手数料が無料です。


金利水準は、各地域の準トップクラスで設定されている場合もありますが、当初優遇型の固定金利選択型ローンでは、固定金利特約終了後の優遇状況や見直しルールなどに注意が必要な地域もあります。


昨今では「フラット35」を取り扱う一方で、中央ろうきんなどのように、金利水準の低い全期間固定金利型を取り扱うところもあり、保証料の設定条件によっては「フラット35」より有利な地域もあります。


下表では、この2つのろうきんの金利設定をまとめておきました。

 

各地の労働金庫の対象地域

名称 対象地域
北海道労働金庫 北海道
東北労働金庫 青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県
中央労働金庫 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県
新潟労働金庫 新潟県
長野労働金庫 長野県
静岡労働金庫 静岡県
北陸労働金庫 富山県、石川県、福井県
東海労働金庫 愛知県、岐阜県、三重県
近畿労働金庫 大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県
中国労働金庫 岡山県、広島県、鳥取県、山口県
四国労働金庫 香川県、徳島県、高知県、愛媛県
九州労働金庫 福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県
沖縄労働金庫 沖縄県


労働金庫の住宅ローンの特徴

労働金庫は、労働組合員の福利厚生のために設立された金融機関で、現在では全国13の労働金庫が、他の金融機関と同じく、預金やローンなどを取り扱っています。労組の組合員でなくても住宅ローンが利用でき、地域に ...

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JA(農協)の住宅ローンの特徴

【民間住宅ローン】JA(農協)の住宅ローンの詳細をわかりやすく解説

JAというと、農家の人を対象にしているというイメージがありますが、おおむね1万円の出資金を支払って「准組合員」になれば、住宅ローンの利用が可能です。


「10年固定」を中心に金利水準も低いところが多く、魅力的な「段階金利型」などを取り扱う地域もあります。


地域によって取り組みは異なる

ひと口に「JA」と言っても、都道府県ごとに金利水準は異なります。

経営自体は各単位農協(JA)が行っていますので、「一県一農協」の場合を除き、同じ都道府県内でも、各JAの住宅ローンに対する取り組み姿勢によっては設定される金利水準は違うということも知っておきましょう。


また、JAや信用金庫などの地域密着型金融機関では、他行と競合する場合に融資担当所が保証会社や上司と交渉して、最優遇金利以下のレートを提示したり、「医療系団信」の上乗せ金利を下げる場合もあります。


主力商品は「10年固定」、一部では段階金利型も

JAの主力商品は「10年固定」です。

多くの地域で魅力的な金利設定が見られますが、将来の金利優遇が1%程度と少なかったり、変動金利に移行するとその後の優遇がなくなるところもありますので、確認が必要です。


なかには、魅力的な段階金利型や「10年固定の段階金利型バージョン」を推進するところもあり、兵庫県と愛知県の一部では、全国で最も条件のよい「貯金連動型住宅ローン」も取り扱っています。


融資手数料と一部繰り上げ返済手数料(店頭経由)の無料化キャンペーンや、保証料水準の引き下げは、残念ながら終了しつつあります。

その代わり、「三大疾病保障(団信)」の上乗せ金利を0.1%に下げる動きが出ています。


多くのJAでは、住宅ローンの審査に通り、おおむね3ヶ月以内など指定された期限内に借りる場合、融資実行時と正式申込日(または融資承認日など)のうちいずれか低い金利が適用されます。


他業態と比べ、審査基準も比較的緩やかですので、審査に不安な方も住宅の所在地にあるJAの商品を確認してみましょう。

JA(農協)の住宅ローンの特徴

JAというと、農家の人を対象にしているというイメージがありますが、おおむね1万円の出資金を支払って「准組合員」になれば、住宅ローンの利用が可能です。「10年固定」を中心に金利水準も低いところが多く、魅 ...

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全期間固定金利型のフラット35の特徴

【住宅ローン】全期間固定金利型のフラット35の特徴

住宅ローンの金利タイプには「全期間固定金利型」「変動金利型」「固定期間選択型」の3つがあります。

変動金利の金利上昇の不安を感じたくない人は全期間固定金利型の住宅ローンを好みます。


そんな全期間固定金利型の代名詞と言えるのが「フラット35」です。

フラット(flat)とは、「平らな」という意味です。金利が一定だからです。


この記事では、フラット35の特徴を解説していきます。


多くの金融機関でフラット35は扱われている

「フラット35」は住宅金融支援機構による長期固定金利型の住宅ローンです。

申込要件などの主な商品概要は全国共通ですが、商品を提供するのは民間の金融機関で、独自の金利設定が行われています。

2017年での適用金利は融資率9割以下が1.08%と、民間の全期間固定金利の最低水準と大差ありません(9割超は1.52%)。


このフラット35がでるまでは全期間固定金利型の公的ローンはその名のとおり、35年間の固定金利で借り入れができる数少ない商品として頼りになる存在です。


ほかにも「フラット20」「フラット50」があり、それぞれの数字は借入期間の年数を表しています。

ただ、あまり利用されていません。

なぜならフラット20は借入期間が短く、毎月の返済負担が大きくなるため、あまり使い勝手がよくないからです。

また、フラット50は完済時の年齢が最高80歳ですから31歳には借りていなければならないことになります。

親子リレー返済に利用する手はありますが、利用者は少ないです。


中心となるフラット35は多くの都市銀行で扱っていますが、地銀、信金、信組などの金融機関はもちろん、ハウスメーカーで作る団信などでも取り扱っています。


フラット35の審査は緩い

フラット35のメリットは審査が緩めで勤続年数や前年の年収を問われないことです。

年収が少なめだったり、自営業者などにも借りやすいといえます。


今でも安心感の高さから多くの人に利用されているフラット35ですが、マイナス金利を背景に、各金融機関との金利面での優位性が薄れています。


ほかの金融機関の全期間固定金利型と比べ、金利や条件面などで希望借入額を獲得できそうか、また自分に合った返済ができるかどうか、よく比較してみるといいでしょう。


フラット35の申込要件

資金使途 申込者本人またはその親族が居住するための住宅の建築費、および物件の購入費
融資金額 100~8000万円(購入価格等の10割まで)
※抵当権設定等にかかる一定の諸費用も含められる
返済期間 15~35年 ※60歳以上は10年以上
親子リレー返済を除き、80歳完済
返済方法 元利均等返済または元金均等返済(借入金額の40%以内ならボーナス併用払いもできる)
金利 ・適用金利は扱う金融機関等が毎月決定する
・融資実行日の金利が適用される
・全期間固定金利型
・返済期間20年以下と21年以上とでは適用金利が異なる
・融資率9割超の場合、全体の適用金利が0.44%高くなる
事務手数料 金融機関によって異なるが、下記の2種類に大別
・定額タイプ/32,400円~108,000円程度
・定率タイプ/融資額×最大2.16%
物件検査 マンションは30㎡以上、戸建は70㎡以上
保証人 不要(保証料なし)
一部繰り
上げ返済
100円以上から。インターネット経由で行う場合は10万円以上で実行できる(手数料無料)。期間短縮型は毎月返済額の6ヶ月単位の元金相当額以上であること
団体信用
生命保険
・機構団信信用生命保険に任意で加入できる
・2017年10月より団信特約料が金利に含まれる

 


【住宅ローン】全期間固定金利型のフラット35の特徴

住宅ローンの金利タイプには「全期間固定金利型」「変動金利型」「固定期間選択型」の3つがあります。変動金利の金利上昇の不安を感じたくない人は全期間固定金利型の住宅ローンを好みます。そんな全期間固定金利型 ...

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「フラット35」「フラット35 S」「フラット35(リフォーム一体型)」の違い

「フラット35」「フラット35 S」「フラット35(リフォーム一体型)」の違い

この記事では、「3つのフラット35の違い」をわかりやすく解説していきます。


フラット35は変動金利とは異なり、融資実行日の金利が変わらない商品です。

全期間固定金利型の住宅ローンを組みたい人には「フラット35」は候補の筆頭に上がると思います。

そんなフラット35ですが、調べてみると3つの種類があることを知り、どれを選べばよいのかわからない人もいるのではないでしょうか。


この記事を読めば、「3つのフラット35の違い」を簡潔に理解することができます。


高性能住宅に利用できる「フラット35 S」

フラット35は性能の高い住宅の普及を促すために国が後押しする住宅ローンです。

そのため融資条件として、住宅の耐熱性や耐久性などに一定の技術基準が定められています。


審査では、この技術に適合しているかどうかについて、専門の検査機関が行う検査を受けて合格する必要があります。

しかし、現在のフラット35の技術基準は一般の新築住宅の標準レベルといわれ、特別高度な建築技術を必要とするものではありません。


このフラット35の技術基準を満たしたうえで省エネルギー性、耐震性、バリアフリーなどに優れた質の高い基準に適合した住宅(長期優良住宅)を取得した場合、フラット35の借入金利を一定期間引き下げた「フラット35 S」を利用できます。


フラット35 Sの大きな特徴は、当初5年間または10年間の金利が0.25%引き下げられることです。

たとえば、借入額3000万円を金利1.1%で全期間固定金利型ローンを組んだ場合、総返済額で通常のフラット35より最大約85万円もお得になる魅力的な商品です。


希望する物件がフラット35 Sに適合しているか、適合していないのであれば、追加工事等で適合が可能か、その場合の費用などについては売り主等に確認する必要があります。


リフォームを行う場合に利用できる「リフォーム一体型」

中古住宅を購入し、入居前にリフォームを行う場合に、物件購入とリフォーム工事費用の最大100%を借り入れできる商品が「フラット35(リフォーム一体型)」です。


おもな特徴は、購入する物件がそのままではフラット35を利用できない場合、リフォーム工事を行えば技術基準を満たすと認められるときに利用できます。

そのため、リフォーム工事の前後での適合証明検査が必要になります。

ただし、リフォーム一体型は取り扱う金融機関が限られています。

事前に住宅金融支援機構のホームページなどで確認しましょう。


また、融資申し込み前にリフォーム工事の請負契約をしなければいけませんが、融資の実行が工事後になるため、施工業者への工事代金を支払うための「つなぎ融資」が必要になる場合もあるので慎重に検討しましょう。


3つのフラット35の特徴

  フラット35 フラット35 S フラット35
(リフォーム一体型)
特徴 ・返済終了までの借入金利と返済額が決定する ・質の高い住宅を金利引き下げにより有利に取得できる ・一つのフラット35で中古住宅の購入とリフォーム工事資金を借り入れできる
借入対象
となる住宅
・住宅の外壁、天井などに所定の厚さ以上の断熱材を施工していること
・耐火構造、準耐火構造または耐久基準に適合していることなど
※新築戸建て住宅の場合
・フラット35の技術基準を満たしたうえで省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性などにすぐれた質の高い基準に適合した住宅など ・住宅の耐久性、劣化状況、耐震性などの点において、住宅金融支援機構の技術基準に適合していること
・マンションの管理規約、20年以上の長期修繕計画が定められていることなど
向いている人 ・安心して返済できる住宅ローンを選びたい人
・金利上昇のリスクを負いたくない人
・質の良い住まいを取得したい人
・金利上昇のリスクを負いたくない人
・より質が高く、将来も安心して長く住める家が欲しい
・中古住宅の購入とリフォームを併せて検討したい
・質の良いリフォームをしたい人など

 


「フラット35」「フラット35 S」「フラット35(リフォーム一体型)」の違い

この記事では、「3つのフラット35の違い」をわかりやすく解説していきます。フラット35は変動金利とは異なり、融資実行日の金利が変わらない商品です。全期間固定金利型の住宅ローンを組みたい人には「フラット ...

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フラット35と民間住宅ローンを併用するメリット

フラット35と民間住宅ローンを併用する

住宅ローンの利用には「2つの商品を併用する」という方法があります。


なぜそんな面倒なことをするのかと不思議に思う方もいるかもしれません。

しかし、併用することによって「借入額を増やせる」「金利を抑えられる」などのメリットがあるのです。


これらのメリットは一定の条件が揃うことで発揮されます。

自身の条件が当てはまるのかをよく確認し、賢く住宅ローンを利用しましょう。


フラット35と民間ローンを併用するメリット

フラット35を取り扱う金融機関では、一般の住宅ローンと組み合わせて借り入れることも可能です。


たとえば、3000万円を借り入れるのに2500万円をフラット35で借り、残りの500万円を変動金利で借りることで、100%ローンにすることができます。


この方法はフラット35だけでは有利子率9割を超えてしまう場合などに有効で(融資率が9割を超えると金利が高くなる)、金利上昇リスクへ備えつつ、毎月返済額を抑えるという「いいとこ取り」ができます。


なかでも「フラット35パッケージ」などの名称がついている商品が一般的で、都市銀行をはじめ、地銀、ネット銀行でも扱っているので調べてみるといいでしょう。

フラット35パッケージはフラット35と民間の金融機関の住宅ローンを一体的に利用する商品タイプです。

特徴は申し込みが1回で済むうえ、どちらの審査もフラット35の基準で行います。


フラット35では融資率が9割を超えると通常は金利が高くなりますが、たとえば、変動金利を組み合わせることで、フラット35の借入額と金利を抑えることができるのです。

そのため、長期の返済期間でどうしても購入額の100%を希望する人などに向いています。


公的ローンであるフラット35を扱うのは、JAを除きほとんどが民間の金融機関です。

独自の全期間固定金利型の商品を持たずにフラット35を取り扱っているのは、顧客のニーズに応えるとともに、長期融資に伴うリスクを避けつつ、事務手数料からの収益を期待できるからです。


なお、フラット35とは別に、独自の全期間固定金利型のがある民間金融機関は、みずほ銀行のほか、一部の地銀や信用金庫などに限られます。

地方在住者には地銀のフラット35の併用ローンが使いやすいでしょう。


各金融機関のフラットの比較ポイント

フラット35を選ぶ際、取り扱う金融機関によって金利や事務手数料、手続きの面で差があるため十分に比較検討したほうがよいでしょう。


注意点としては、金利は低めでも、事務手数料は高めに設定されていることがあります。

一見しただけでは気がつかないこともあるので申し込む前に詳細に確認しましょう。


住宅ローンの商品選びは総合的に判断することが重要です。


フラット35と民間住宅ローンを併用するメリット

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財形住宅融資の特徴

【財形住宅融資とは】財形住宅融資の詳細をわかりやすく解説

財形貯蓄を行っていて一定の要件を満たす人が利用できるのが、公的な住宅ローンである「財形貯蓄融資」です。

勤務先の状況等によって申込み窓口が4つに分かれていますが、融資限度額などの基本的な部分についてはほぼ同じ内容です。


財形住宅融資の概要

財形貯蓄には下記の3種類があります。

①:一般財形
②:住宅財形
③:年金財形


②と③については元利合計等で合わせて550万円までの利子に対する税金が非課税とされます。

住宅財形の場合はマイホームの取得等資金として払い出す際に非課税あつかいとなりますので、頭金づくりを目的に利用している人も多いです(ただし、取得する住宅の床面積が50㎡以上で、中古住宅の場合は築20年ないし25年以内などの要件を満たす必要があります)。


財形住宅融資は、これらの財形貯蓄のいずれかを1年以上継続して行っていて、その貯蓄残高(3種類の財形貯蓄の合計額で判断)が50万円以上ある人が借りられます。

この要件を満たさなかったり、財形貯蓄制度が導入されていない企業で働く人、そもそも財形貯蓄の対象外である自営業者や会社役員などは利用できませんので、他の住宅ローンを借りることになります。


一方、財形住宅融資の利用が可能な場合は、申込窓口が勤務先の制度などによって4つに別れているため、自身がどこを通して申し込むのかをまず確認しておく必要があります(後述)。


なお、住宅の取得資金に充てるために住宅財形(財形住宅貯蓄)を払い戻す際に、財形住宅融資の申し込みを行って承認を得る前に解約してしまうと、融資が受けられなくなるので注意が必要です。


融資額は「財形貯蓄残高×10倍」

同じ財形住宅融資であっても、利用にあたっての細かい条件等は窓口によって異なります。

とりあえず、統一的な基準を確認していきましょう。


まず、融資限度額は4,000万円です。

ただし、実際の借入金額には財形貯蓄の残高に応じた制限があり、「財形貯蓄残高×10倍」までとされています。


そのため、財形貯蓄の残高が100万円という人は、この10倍の1,000万円を最大で借りられる金額となります。


取得する物件がまだ決まっていない場合で、財形住宅融資から多く借りたいと考えるなら、勤務先の手続き上可能であれば、積立額を増額して財形貯蓄の残高を増やす、という方法も検討しましょう。


次に、物件価額に対する融資額の上限も設定されており、こちらは9割までとなっています。

ただし、フラット35と併用する場合は合計で10割まで利用できます。


これらの要件をすべて満たしたうえで、窓口ごとに設定された収入基準をクリアした場合に、希望額がすべて借りられることになります。


「フラット35」とは異なり、購入や建築する物件に対して複数の人が融資を申し込むことも可能ですが、それぞれの人が前述した要件を満たす財形貯蓄を行っていることが条件です。

また、別々に申し込まずに「収入合算制度」を利用することもできます。

なお、借り換えで利用することはできませんし、取得する住宅の床面積には緩やかではありますが一定の制限もあります。



財形住宅融資の4つの窓口
財形住宅融資の対象者 申込み窓口
転貸融資 「事業主転貸融資」の制度を導入している企業で働く人 勤務先
財形住宅金融(株)(厚生労働大臣登録の福利厚生会社)に出資する企業の社員 財形住宅金融(株)
直接融資 公務員で共済組合等に窓口がある人 各共済組合等
上記のいずれにも当てはまらない人 住宅金融支援機構の取扱店である金融機関


財形転貸融資 勤務先や福利厚生会社が、独立行政法人・勤労者退職金共済機構から資金を借り入れ、従業員に転貸する制度
財形直接融資 住宅金融支援機構や共済組合を通じて、利用者が直接的に資金を借り入れる制度



財形住宅融資の利用条件

住宅金融支援機構を通して借りる財形住宅融資では、機構の定める技術基準を満たし、「適合証明書」の交付が受けられる住宅が融資対象となります。


基準を満たすかは、仲介業者や工務店に問合わせることで確認できますが、「フラット35」の技術基準と同じだと考えておけば問題ありません。

中古住宅の築年数に関する制限はありません。


住宅の床面積が下表の範囲内であることも要件の一つです。


新築住宅か、中古住宅(=リ・ユース住宅等)であるかを問わず、現在では戸建て住宅の敷地面先に関する制限もありません。


返済期間は、新築住宅やリ・ユースプラス住宅と認定された中古住宅では最長35年で、それ以外のリ・ユース住宅は最長25年(すべて80歳完済)です。


返済方法は元利均等返済と元金均等返済から選ぶことができ、毎月払いに加えてボーナス払い(借入金額の4割以内)を併用することも可能です。



対象物件の床面積と返済期間の上限
物件の種類 対象物件の床面積 返済期間
新築 戸建て 70㎡以上280㎡以下 35年以内
マンション 40㎡以上280㎡以下
中古 戸建て リ・ユースプラス住宅 40㎡以上280㎡以下 35年以内
リ・ユース住宅 25年以内
マンション リ・ユースプラス住宅 35年以内
リ・ユース住宅 25年以内


〈マイホーム新築の主な要件〉

  1. 住宅金融支援機構の定める技術基準に適合する住宅
  2. 土地については、申込年度の2年前の4月1日以降(たとえば2020年度の場合は、2018年4月1日以降)に取得した土地であれば融資の対象となる。ただし、土地のみに対する融資は無効で、住宅の取得時に合わせて借りる必要がある


〈新築住宅購入の主な要件〉

  1. 申込日前2年以内に完成または工事中の住宅(未着工のものを含む)で、建築基準法に定める検査済証が交付される未入居住宅(木造住宅の場合は、一戸建てか連続建てで耐久性向上措置を施している住宅に限る)


〈リ・ユース住宅購入の主な要件〉

  1. 「フラット35」が利用できる物件、もしくは「リ・ユース住宅適合証明書」において「リ・ユース住宅」のタイプのいずれかに適合すると証明された物件
  2. 2以上の居住室(食事室を含む)、台所、トイレ、浴室がある住宅


勤務先からの「負担軽減措置」が必要

財形住宅融資の利用にあたっては、原則として勤務先から5年以上にわたり融資額の1%にあたる額(その額が3万円を超える場合は年間3万円)以上の援助を住宅手当や利子補給といったかたちで受け取る、などの「負担軽減措置」が受けられることも要件となります。


そのため、住宅金融支援機構の財形住宅融資(財形直接融資)を申し込む際には、申込用紙一式に入ってる「負担軽減措置等の証明書」という書類に勤務先の印鑑をもらい、提出しなければなりません。

ちなみに、この負担軽減措置によって勤労者が受ける経済的利益に対しては非課税とされていましたが、2011年1月1日以降は課税扱いとなっています。


財形住宅融資の金利

財形住宅融資の最大の特徴は、金利と返済額が5年ごとに見直される「実質的な変動金利型ローン」だということです。


そのため、将来的な金利上昇リスクは残りますが、公的融資ですので、金利水準は低く設定されています。


財形住宅融資は5年ごとの変動金利型

財形住宅融資の金利は、「五年固定金利制」という名称がついています。

「固定」と表記されてはいますが、実際には5年ごとに金利が見直され、それに伴って返済額も変わる仕組みですので、民間住宅ローンでいうところの「変動金利5年もの」といったほうが正しいかもしれません。


民間の変動金利型も返済額は5年単位で変わりますが、5年目以降5年間の返済額はどんなに金利が上がっても、直前の返済額の1.25倍が上限となります。

一方、財形住宅融資は最大1.5倍まで返済額が増える仕組みですので、直前に金利が急上昇した場合、返済額も急上昇します。



「フラット35」との併用も検討の価値あり

2010~2020年では、民間の「固定金利選択型ローン」の「5年固定」より、低めの金利水準で推移しています。


保証料が不要である点や、民間住宅ローンのような優遇金利ではなく、この水準自体が基準金利であることなどを勘案すると、非常に魅力的ですが、やはり将来的な金利上昇リスクには不安も残ります。


そこで検討したいのが、「フラット35」との併用です。「フラット35の固定金利」と「財形住宅融資の(実質)変動金利」の組み合わせによるメリットが期待できます。


なお、民間住宅ローンでは、原則として融資実行時の金利が適用されますが、財形住宅融資の当初の適用金利は申し込み時点の金利となります。


住宅金融支援機構を通して借りる「財形直接融資」では、団体信用生命保険への加入は任意です。

機構団信に加入する場合は「フラット35」と異なり、団信特約料は金利に含まれていません。

毎年の契約応答日に年払いで特約料を支払うため、実質金利は「適用金利+0.35%」程度となります。

 

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