この記事では、ファンダメンタル分析の一つ「売上高付加価値率」について解説していきます。
売上高付加価値率を理解すれば、会社の「生産性」を知ることができます。
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売上高付加価値率とは
売上高付加価値率とは、売上高に占める付加価値の割合を見る指標です。
売上高付加価値率を見れば企業がモノやサービスを販売したときに、どれだけ付加価値をつけることができたのかがわかります。
比率にして表すことによって、企業の年度毎の成長やライバル企業との比較が可能になります。
付加価値率が高いということは、企業が原価に利益を上乗せすることができたということになり、効率よく利益を出せていることになります。
付加価値とは
付加価値とは、読んで字のごとく、付け加えられた価値のことです。商品やサービスが本来持っている価値に、プラスして付け加えた価値が付加価値になります。
たとえば、独自のルートで商品を得たり、独自技術によって製品を開発したりするなど、他社とは違う方法によって生み出された価値のことです。
付加価値額の求め方
売上高付加価値率を求める時に必要な「付加価値」ですが、計算するには金額を知る必要があります。
「付加価値額」は下記の方法で求めることができます。
付加価値額を求めたい場合、決算書(損益計算書)に記載されている、人件費 、金融費用 、 減価償却費、賃借料 、租税公課、経常利益の合計ということになります。
小売業や卸売業のような「仕入れて売るだけの場合」ならば、売上高から売上原価を差し引いた金額の「売上総利益」=「付加価値額」と考えて大丈夫です。
※企業の業績は決算書に記載されていますが、決算書に「付加価値」という項目はありません。
売上高付加価値率の計算式
売上高付加価値率の計算式は下記のとおりです。
$$売上高付加価値率=付加価値額÷売上高×100$$
売上高付加価値率の数値は、高いほど原価に利益を上乗せできていることになり、効率よく稼げていることになります。
売上高付加価値率を実際に計算してみる
売上高付加価値率を求める計算を実際にしてみましょう。
計算式に必要な情報は損益計算書に記載されています。損益計算書は会社のホームページへ行き、IR情報から確認できます。
今回は、株式会社セブン&アイ・ホールディングスの決算書を使って売上高付加価値率していきます。
2019年2月期決算短信〔日本基準〕(連結)
$$1,096,784÷5,508,600×100=19.91%$$
セブン&アイ・ホールディングスの売上高付加価値率は19.91%でした。
売上高付加価値率の目安と業種別平均
業種によって売上高付加価値率の平均は異なるので、他の会社と比較するときは同業種で行う必要があります。
業種別の平均値を知ることで、企業に求められる売上高付加価値率の目安がわかります。
下記の情報は2018年のモノです。
売上高付加価値率の業種別平均 | |
全業種 | 17.8% |
教育,学習⽀援業 | 47.0% |
複合サービス事業 | 39.4% |
宿泊業,飲⾷サービス業 | 37.7% |
学術研究,専⾨・技術サービス業 | 36.5% |
サービス業(他に分類されないもの) | 35.4% |
鉱業,採⽯業,砂利採取業 | 32.4% |
情報通信業 | 26.7% |
運輸業,郵便業 | 25.7% |
農林漁業(個⼈経営を除く) | 23.6% |
不動産業,物品賃貸業 | 20.5% |
建設業 | 19.2% |
医療,福祉 | 18.5% |
製造業 | 17.4% |
⽣活関連サービス業,娯楽業 | 16.9% |
電気・ガス・熱供給・⽔道業 | 15.3% |
⾦融業,保険業 | 15.3% |
卸売業,⼩売業 | 10.8% |
売上高付加価値率を比較する
売上高付加価値率を他社と比較する方法を解説していきます。比較する会社には、ふさわしい会社を選ぶ必要があります。
比較会社は会社四季報で確認できる
目当ての会社を他社と比較するときに便利なのが、「会社四季報」です。
会社を比較するときに重要なのが、「同業種」であることと「会社規模」が近いことになります。
会社四季報には、上記の条件に当てはまるライバル企業を掲載しています。
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売上高付加価値率を実際に比較してみる
売上高付加価値率を使って実際に比較してみましょう。
セブン&アイ・ホールディングスの場合、比較会社は「ローソン」「ファミマ」「イオン」になります。
比較データは2019年の1年間です。
売上高付加価値率の比較 | |
セブン&アイ・ホールディングス | 19.91% |
ローソン | - |
ファミマ | 24.86% |
イオン | 27.63% |
まとめ
売上高付加価値率とは、売上高に占める付加価値の割合を見る指標です。
売上高付加価値率を見れば企業がモノやサービスを販売したときに、どれだけ付加価値をつけることができたのかがわかります。
業種によって売上高付加価値率の平均は異なるので、他の会社と比較するときは同業種で行う必要があります。
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