住宅を購入する場合、住宅ローンを利用するのが一般的ですが、希望する金額を借り入れることができるかは重大事項です。
もしも希望する金額に届かない場合、不足分を自ら用意しなけらばなりませんので、状況によっては目当ての物件を諦めることになってしまいます。
事前に「どれくらい借入れることが可能なのか」を知っておけば、物件探しのヒントになるはずです。
この記事を読めば、「借入可能額を決める3条件」「年収による住宅ローンの借入可能額の計算式」「物件の評価基準」などを知ることができます。
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同じような条件でも借入可能額には差がある
事前審査に通ったとしても希望する借入額どおりの住宅ローンを組めるとは限りません。
同じ条件でローンを申し込んでも、本審査の結果によって借り入れできる額が違うこともあります。
たとえば3000万円の希望物件を購入するのに自己資金300万円を差し引いた2700万円を銀行から借りたいと思っても審査の結果、2500万円しか借入できないこともあります。
審査の結果、その人が実際に借入れることのできるが金額を「借入可能額」といいます。
では借入可能額はどのように決まるのでしょうか。
じつは年収に対する割合が決められていて、金融機関によっても異なりますが、おおよその借入可能額を知ることができます。
年収による住宅ローンの借入可能額の計算式
〈計算式〉
$$①(税込年収○○○万円×返済負担率○○○%)÷12=毎月返済額○○○円$$
$$②毎月返済可能額○○○円÷100万円当たりの毎月返済額○○○円×100万円=借入可能額$$
返済負担率=A銀行の場合、税込み年収150万~250万円未満20%。250万~400万円未満30%。400万~700万円未満35%。700万円以上40%。
金利 | 返済期間 | ||||
15年 | 20年 | 25年 | 30年 | 35年 | |
1.0% | 5,984 | 4,598 | 3,768 | 3,216 | 2,822 |
1.5% | 5,907 | 4,825 | 3,999 | 3,451 | 3,061 |
2.0% | 6,435 | 5,058 | 4,238 | 3,696 | 3,312 |
2.5% | 6,667 | 5,299 | 4,486 | 3,951 | 3,574 |
3.0% | 7,148 | 5,799 | 4,742 | 4,216 | 3,848 |
借入額を決める3つの条件
借入額は下記の3つの条件によって決まります。
- 安定性
- 返済負担率
- 担保評価
それぞれわかりやすく解説していきます。
1.安定性
第一に、収入の「安定性」が挙げられます。
つまり、月々の返済をきちんとできる基盤があることを証明できれば問題ありません。
たとえば、勤務先は中小企業より大企業、公務員などのほうが有利というのが現実です。
勤続年数や職種、勤務先の事業規模(業況)、資産状況により、総合的に判断されます。
年収は400万円未満の人より、500万円以上の人のほうが多くお金を借りることが可能です。
それだけ余裕があり、月々の返済もきちんとできるだろうと予測できるからです。
2.返済負担率
第二に、上記のように税込み年収に占める年間返済額の割合のことを「返済負担率」と呼び、保証会社では一定の基準を設けています。
たとえば、住宅金融支援機構の場合、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下となっていて、上限の範囲内で希望する額が借りやすくなっています。
3.担保評価
第三は「担保評価」です。つまり、どんな住まいを購入しようとしているか、万が一の際、その物件を処分(現金化)しなければならなくなったときに、どれだけの価値があるかを判断します(後述)。
さらに、住宅ローン以外の借入状況も加味して、具体的な借入可能額が決まります。
物件の種類で評価基準は異なる「戸建て」「マンション」「中古」
物件が担保として適格かどうかを評価
審査は申込者が購入しようとする物件の種類によっても左右されます。
なぜなら住宅ローンは、土地と建物を担保とする融資だからです。
保証会社は借り手が返済不能になった場合、金融機関に対して借入金の返済(代位弁済)をしますが、担保である土地と建物を最優先で確保できる「第一抵当権」という権利を持つことになります。
これにより、その物件を競売にかけて、代位弁済分の資金を回収し、不足分は借り手が返済していくことになります。
つまり保証会社は、万一の際にその物件が借入金に対して担保として十分な価値があるかどうかを事前に判断しておく必要があるのです。
ここで注意したいのは、住宅ローンを申し込む際に金融機関に提示する物件価格は、借主が売り主との間で合意した価格であって、担保価格とは無関係だということです。
土地や建物の価格は景気とともに変動します。
物件によっては、将来値崩れする恐れが高く、担保とするには低い評価しかつかないこともあります。
その場合、借入可能額を下げられることもあります。
物件評価の基準とは
では、保証会社はどんな基準で担保価値を診査するのでしょうか。
新築戸建て住宅の場合、「不動産価値=土地価格」といわれるように、用途地域や路線価が大きな比重を占めます。
つまり、立地条件がポイントになります。
建物部分は工法によって評価され、鉄筋コンクリート造(RC造)は高く、木造は低い評価になります。
一方、新築マンションは市場価格で評価され、立地や管理、構造などが良い物件ほど評価は高くなります。
中古住宅の場合も基本的な評価方法は同じですが、建物は減価償却(経過年数に応じた価値の目減り分)が勘案されます。
そのため、特に築年数20年を超える中古戸建てでは、いくら魅力的にリフォームされていたとしても建物部分の担保価値はゼロで、土地価格のみで評価されると考えておいた方がいいでしょう。
中古マンションも築年数に応じて建物の価値は下がりますが、担保価値の中心が市場価値(流動性)のため、戸建てに比べると影響は少ないといえます。
物件を選ぶ際の主なチェックポイント
戸建て | ・用途地域:「第一種低層住宅専用地域」かどうかなど、その地域にどんな種類や高さの建物が建つ可能性があるかを確認 ・土地価格:国税庁が毎年1月1日現在の価格標準を7月ごろに発表する路線価が目安になる。ホームページでも調べることができる。 |
マンション | ・市場価格で評価される。立地や管理、構造などの面で、優れている物件ほど評価は高くなる。 |
中古 | ・建物:減価償却が勘案され、築年数の古い物件は評価が低くなることもある。 ・リフォーム物件:新築並みにリフォームされていても、建物部分の評価は基本的に築年数で見られるため、評価が高くなるとは限らない。 |
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