この記事では、ファンダメンタル分析の一つ「総資産利益率（ROA）」について解説していきます。
総資産利益率（ROA）を理解すれば、会社の「収益性」を知ることができます。
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総資産利益率（ROA）とは
総資産利益率（ROA）は、 「経常利益」と「総資本」の比率を表したものです。
金額ではなく、比率としてあらわすことによって、他社と比較することが可能になます。
総資産利益率（ROA）を見れば、ライバル企業と比べて「優れているのか」「劣っているのか」が、ひと目でわかります。
総資産利益率（ROA）は、会社の総資産でどれくらいの利益を生み出しているかがわかる指標です。
会社の総資産に含まれるものは、自己資本の純資産のほか、土地、建物などすべての資産が総資産に含まれます。
総資産利益率（ROA）は「会社の総合力」を測るための代表的な指数といえます。
ROAは高いほうがよく、それだけ会社が保有する資産を有効的に活用して利益を上げていることになります。一方、ROAが低い会社は、収益に関係のない資産を抱えていることになります。
不動産投資や株式投資、会社の事業規模に見合わないような高額な設備投資、現金化できない不良資産の存在などが原因となっている場合が多いです。
多額の借入によって経営が成り立っている会社であれば、少なくとも銀行の借入金利を超える稼ぎがなければ存続できません。
経常利益とは
経常利益とは、企業が通常行っている業務の中で得た利益のことです。
企業では、その企業の本業とそれ以外の事業の損益を分けて計算しています。本業の儲けを営業利益といい、それ以外を営業外利益といいます。
例えば、本業が製造業であっても、保有する株式から配当金などを得ることがあり、経常利益には本業の利益以外に配当金収入なども含まれます。
本業以外での収益と費用を「営業外収益・営業外費用」といいます。
総資本とは
総資本とは、企業が保有する資本総額で、自己資本と他人資本とを合計したものになります。貸借対照表の借方および貸方の総額に等しいです。
総資産利益率（ROA）を求める計算式
総資産利益率の計算式は下記のとおりです。
$$総資産利益率（ROA）＝（経常利益÷総資本）×100$$
総資産利益率（ROA）の数値は高いほうがよく、それだけ会社が保有する資産を有効的に活用して利益を上げていることになります。
一方、ROAが低い会社は、収益に関係のない資産を抱えていることになります。
総資産利益率（ROA）を実際に計算してみる
総資産利益率（ROA）を求める計算を実際にしてみましょう。
計算式に必要な「経常利益」は『損益計算書』に記載されています。「総資本」は『貸借対照表』に記載されています。
損益計算書と貸借対照表は、会社のホームページへ行き、IR情報から確認できます。
今回は、株式会社セブン＆アイ・ホールディングスの決算資料を使って総資産利益率（ROA）を計算していきます。
2019年2月期決算短信〔日本基準〕（連結）
$$406,523÷5,795,302＝7.01％$$
セブン＆アイ・ホールディングスの総資本利益率（ROA）は7.01％でした。
総資産利益率（ROA）の目安と業界平均
業種によって総資産利益率（ROA）の平均は異なるので、他の会社と比較するときは同業種で行う必要があります。
業種別の平均値を知ることで、企業に求められる総資産利益率（ROA）の目安がわかります。
| 主な業種の総資産利益率（ROA） | |
| 金属鉱業 | 3.42％ |
| ゴム製品製造業 | 3.40％ |
| 林業 | 2.90％ |
| 航空運輸業 | 2.77％ |
| ガス業 | 2.72％ |
| 化学工業 | 2.71％ |
| 原油，天然ガス鉱業 | 2.65％ |
| 輸送用機械器具製造業 | 2.63％ |
| 一般機械器具製造業 | 2.47％ |
| 石炭鉱業 | 2.28％ |
| その他サービス業 | 2.27％ |
| 出版，印刷，同関連産業 | 2.13％ |
| 金属製品製造業 | 2.12％ |
| 不動産業 | 2.11％ |
| パルプ、紙、紙加工品製造業 | 2.05％ |
| 小売業 | 1.97％ |
| 木材，木製品製造業 | 1.94％ |
| 食料品製造業 | 1.92％ |
| 卸売業 | 1.85％ |
| 民営鉄道業 | 1.45％ |
| 道路運送業 | 1.37％ |
| 石油製品，石炭製品製造業 | 1.26％ |
| 電気機械器具製造業 | 1.16％ |
| 窯業，土石製品製造業 | 1.02％ |
| 漁業 | 0.76％ |
| 非鉄金属製造業 | 0.72％ |
| 精密機械器具製造業 | 0.48％ |
| 倉庫業 | 0.37％ |
| 農業 | 0.24％ |
| 旅館業 | 0.17％ |
| 保険業 | 0.17％ |
| 鉄鋼業 | -0.23％ |
| 銀行，信託業 | -0.42％ |
| 繊維工業 | -0.56％ |
| 娯楽業 | -1.03％ |
| 運輸に付帯するサービス業 | -1.61％ |
| 証券業 | -1.74％ |
| 水運業 | -1.74％ |
| 電気業 | -2.14％ |
| その他の製造業 | -2.67％ |
| 皮革，同製品製造業 | -3.62％ |
| 建設業 | -85.04％ |
総資産利益率（ROA）を比較する
総資産利益率（ROA）を他社と比較する方法を解説していきます。比較する会社には、ふさわしい会社を選ぶ必要があります。
比較会社は会社四季報で確認できる
目当ての会社を他社と比較するときに便利なのが、「会社四季報」です。
会社を比較するときに重要なのが、「同業種」であることと「会社規模」が近いことになります。
会社四季報には、上記の条件に当てはまるライバル企業を掲載しています。
関連記事
総資産利益率（ROA）を実際に比較してみる
総資産利益率（ROA）を使って実際に比較してみましょう。
セブン＆アイ・ホールディングスの場合、比較会社は「ローソン」「ファミマ」「イオン」になります。
比較データは2019年の1年間です。
| 総資産利益率（ROA）の比較 | |
| セブン＆アイ・ホールディングス | 7.01％ |
| ローソン | 4.84％ |
| ファミマ | 0.24％ |
| イオン | 2.14％ |
セブン＆アイ・ホールディングスの総資産利益率（ROA）を同業種の他社と比較したところ、優秀な会社だということがわかりました。
まとめ
総資産利益率（ROA）とは、会社の総資産でどれくらいの利益を生み出しているかがわかる指数です。
ROAは高いほうがよく、それだけ会社が保有する資産を有効的に活用して利益を上げていることになります。一方、ROAが低い会社は、収益に関係のない資産を抱えていることになります。
業種によって総資産利益率（ROA）は異なるので、他の会社と比較するときは同業種で行う必要があります。
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