この記事では、損益計算書の「経常利益」について解説していきます。
経常利益は、損益計算書にでてくる利益の一つです。
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経常利益とは
経常とは、常に一定の状態で継続して続くことです。つまり、経常利益とは「会社が通常行っている業務の中で得る利益」のことです。
会社は、事業で発生した収益を、「本業」と「それ以外」に分けて計算します。本業で得た利益を「営業利益」といい、それ以外を「営業外利益」といいます。
たとえば、製造業の場合ですと、商品を生産して販売することが本業にあたります。不動産業の場合ですと、保有する不動産を販売したり、貸したりすることが本業にあたります。
ここで注意するポイントが、「製造業であっても、お金が余っていれば不動産を購入し、誰かに貸して賃料を経常的に得ることもある」ということです。
この場合、製造業にとって不動産を貸すことは本業ではありませんので、「営業外利益」になります。
経常利益は、常に一定の状態で続く利益のことです。そのため、普段は発生しないような利益や損失は経常利益には含まれていません。
普段は発生しない損益とは、例えば、地震などの災害で被った損失や、会社の持っている土地を売って得た儲けなど、毎年起るようなものではない損益のことです。
経常利益を求める計算式
損益計算書の経常利益を求める計算式は下記のとおりです。
$$経常利益=営業利益+営業外収益−営業外費用$$
たとえば、下記の条件で経常利益を求める計算式を考えていきましょう。
上記の場合は下記のようになります。
$$100+50−30=120万円(経常利益)$$
経常利益は120万円となりました。
経常利益からわかること
経常利益を見れば、会社の総合力がわかります。
経常利益は、「営業利益」に「営業外収益」を足して、そこから「営業外費用」を差し引いたものです。
営業利益とは、会社の本業で得ることのできる利益のことです。
営業外収益とは、「受取利息」や「配当金」、「有価証券売却益」などです。
営業外費用とは、「支払利息」や「有価証券売却損」などです。
つまり、経常利益は本業の利益である営業利益に、財テクなどの副業で発生した損益をトータルに反映した利益となります。
経常利益の英語表記は「Ordinary profit」
現在、経常利益の英語は「Ordinary profit」を使うのが一般的です。
これまでは下記の2つがよく使われていました
- Ordinary income
- Ordinary profit
「経常利益」等の財務諸表の勘定科目の英語表示については、 金融庁が「EDINETタクソノミ」の「勘定科目リスト」で公表していますが、そこでは「Ordinary profit」と記載されています。
また、国際会計基準(IFRS)でも「利益」をprofitと表現しています。
現在、日本では経常利益の英語表記は「Ordinary profit」に一本化されています。
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増収増益とは、売上高と経常利益のこと
新聞やニュースなどで、「増収増益」という言葉を聞いたことがあると思います。
これは、当期と前期の損益計算書の「売上高」と「経常利益」を比較したものです。それだけ「経常利益」は重要な数字ということなのです。
- 増収:前期よりも売上高が高い
- 減収:前期よりも売上高が低い
- 増益:前期よりも経常利益が高い
- 減益:前期よりも経常利益が低い
「増収増益」が最も高い評価となりますが、「減収増益」でも企業努力の成果として経営への評価がされることがあります。
「減益」は会社の儲けが減ったことを意味しているので、経営への評価は厳しいものになります。
経常利益は5つの利益のうちの1つ
経常利益は、損益計算書に記載される5つの利益のうちの1つです。
その他の利益も知ることで、経常利益の理解も深まります。
利益の種類は下記のとおりです。
上記の5つは、売上金額の総額の「売上高」から、「原価」や「人件費」など、さまざまなものを順番に計算することによって求められていきます。
利益を細分化することによって、どの分野の業績が良いのか、悪いのかが、ひと目でわかるようになっています。
それぞれわかりやすく説明していきます。
①:売上総利益とは
売上総利益は、売上金額の総額の「売上高」から、「売上原価」を差し引いた金額です。
売上総利益を求める計算式は下記のとおりです。
$$売上総利益=売上高−売上原価$$
売上高とは、会社が販売した「商品」や「サービス」の合計金額のことです。
売上原価とは、「商品」や「サービス」を提供するためにかかった費用のことです。
つまり、売上総利益は「販売した商品・サービスの金額から、販売するためにかかった費用を差し引いた金額」となるので、売上総利益を見れば、商品やサービスの「付加価値」がわかります。
②:営業利益とは
営業利益は、「売上総利益」から、「販売費及び一般管理費」を差し引いた金額です。
営業利益を求める計算式は下記のとおりです。
$$営業利益=売上総利益−販売費及び一般管理費$$
売上総利益とは、商品の付加価値の金額のことです。
販売費及び一般管理費とは、会社が事業活動をおこなう上でかかる費用のことです。
つまり、営業利益は「本業の活動によって得られる金額」となるので、営業利益を見れば、会社の本業が上手くいっているのかがわかります。
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③:経常利益とは
経常利益は、「営業利益」に「営業外収益」を足して、そこから「営業外費用」を差し引いた金額です。
経常利益を求める計算式は下記のとおりです。
$$経常利益=営業利益+営業外収益−営業外費用$$
営業利益とは、本業の活動によって得られる金額のことです。
営業外収益・費用とは、本業以外の通常発生する収益・費用のことです。
具体的には、「お金を借りた際の支払い利息」や「保有している株の配当益」などのことです。
つまり、経常利益は「本業と副業によって得られる金額」となるので、経常利益を見れば、会社の総合力がわかります。
④:税引前当期純利益とは
税引前当期純利益は、「経常利益」に「特別利益」を足して、そこから「特別費用」を差し引いた金額です。
税引前当期純利益を求める計算式は下記のとおりです。
$$税引前当期純利益=経常利益+特別利益−特別費用$$
経常利益とは、本業とは副業によって得られる金額のことです。
特別利益・費用とは、本業以外の通常発生しない収益・費用のことです。
具体的には、「土地を売却した売却益」や「工場が火災で焼失した際の損失」などのことです。
つまり、税引前当期純利益は「会社の事業活動によって生まれる、全ての利益と全ての費用を計算した金額」となるので、税引前当期純利益を見れば、会社が1年間でどれだけ利益を上げたかのかがわかります。
⑤:当期純利益とは
当期純利益は、「税引前当期純利益」から「法人税等」を差し引いた金額です。
当期純利益を求める計算式は下記のとおりです。
$$当期純利益=税引前当期純利益−法人税等$$
税引前当期純利益とは、会社が1年間で上げた利益のことです。
法人税等とは、利益にかかる税金のことです。
つまり、当期純利益は「会社の1年間の最終的な利益」となります。
株主に支払われる配当金は、この当期純利益から支払われるので、投資家にとって重要な金額です。
経常利益を使った経営指標=経常利益率
経常利益を使った経営指標には、「経常利益率」というものがあります。
売上高経常利益率は、「売上高」と「経常利益」の比率を表したものです。
経営指標の多くは金額ではなく「比率」で表します。比率にして表すことによって、他社との比較が容易にできて、優れた会社を簡単に発見することができます。
会社の事業や財務活動から稼ぎ出す利益についての収益性が判断できますので、会社全体の強さが判断できます。
売上高経常利益率が高いほど、総合力の高い会社を意味します。
経常利益率を求める計算式
売上高経常利益率の計算式は下記のとおりです。
$$売上高経常利益率(%)=(売上総利益÷売上高)×100$$
売上高経常利益率が高いほど、事業活動全体で効率よく稼げていることを意味しています。
まとめ
経常利益とは「会社が通常行っている業務の中で得る利益」のことです。
経常利益は損益計算書に記載される利益の一つで、会社の本業と副業によって得られる利益の合計金額が記載されます。
つまり、経常利益を見れば「会社の総合力」がわかるといえます。
現在、経常利益の英語は「Ordinary profit」を使うのが一般的です。
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