この記事では、損益計算書の「当期純利益」について解説していきます。
当期純利営は、損益計算書にでてくる利益の一つです。
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当期純利益とは
当期純利益とは、「税引前当期純利益」から「法人税等」を差し引いたもので、当期における会社の最終的な利益を表します。
計算後、利益ではなく損失となった場合は、当期純損失となります。
「法人税等」とは、事業活動で得られた利益に対して課税される「法人税」「住民税」「事業税」の3つの税金のことです。
上記の3つの税額と「税引前当期純利益」に実効税率をかけた額との差額が「法人税等調整額」で、合わせて計上されます。
この当期純利益の増減額によって、貸借対照表の純資産は増減します。
会社の財務分析をする場合、当期純利益の大きさを前期と比較した成長度合いが重要視されることが多く、その内容や要因についても評価されます。
株主に分配される配当金は、この当期純利益から支払われるので、投資家にとっても重要な数字です。
当期純利益は英語で「Net income」と表示されます。
当期純利益を求める計算式
損益計算書の当期純利益を求める計算式は下記のとおりです。
$$当期純利益=税引前当期純利益−法人税等$$
たとえば、下記の条件で当期純利益を求める計算式を考えていきましょう。
税引前当期純利益:100万円
法人税等:30万円
上記の場合、下記の計算式になります。
$$100−30=70万円(当期純利益)$$
当期純利益は70万円となりました。
当期純利益からわかること
会社によっては、決算書の数字をよく見せるために、経常利益では赤字だったものを「当期純利益」や「税引前当期純利益」で黒字にする荒業があります。
経常利益が赤字であるのにもかかわらず、「当期純利益」や「税引前当期純利益」が黒字となっている場合は、金額の大きい不動産を売却したことなどにより、業績を良く見せようとしていることが考えられます。
決算資料で利益を見るときは、1年間の総括である「税引前当期純利益」や「当期純利益」だけでなく、「営業利益」や「経常利益」も確認することが重要です。
自己資本利益率(ROE)とは
当期純利益を使った経営指標には、「自己資本利益率(ROE)」というものがあります。
自己資本利益率(ROE)とは、「自己資本」と 「当期純利益」の比率を表したものです。
ROEによって、会社が自己資本(株主資本)をどれだけ有効に使って当期純利益に結びつけているかが分析できます。
自己資本利益率(ROE)を求める計算式
自己資本利益率(ROE)の計算式は下記のとおりです。
$$自己資本利益率(ROE)=(当期純利益÷自己資本)×100$$
ROEの数値は高いほど、自己資本を効率よく使って稼げていることになります。
当期純利益は5つの利益のうちの1つ
当期純利益は、損益計算書に記載される5つの利益のうちの1つです。
その他の利益も知ることで、当期純利益の理解も深まります。
利益の種類は下記のとおりです。
上記の5つは、売上金額の総額の「売上高」から、「原価」や「人件費」など、さまざまなものを順番に計算することによって求められていきます。
利益を細分化することによって、どの分野の業績が良いのか、悪いのかが、ひと目でわかるようになっています。
それぞれわかりやすく説明していきます。
①:売上総利益とは
売上総利益は、売上金額の総額の「売上高」から、「売上原価」を差し引いた金額です。
売上総利益を求める計算式は下記のとおりです。
$$売上総利益=売上高−売上原価$$
売上高とは、会社が販売した「商品」や「サービス」の合計金額のことです。
売上原価とは、「商品」や「サービス」を提供するためにかかった費用のことです。
つまり、売上総利益は「販売した商品・サービスの金額から、販売するためにかかった費用を差し引いた金額」となるので、売上総利益を見れば、商品やサービスの「付加価値」がわかります。
②:営業利益とは
営業利益は、「売上総利益」から、「販売費及び一般管理費」を差し引いた金額です。
営業利益を求める計算式は下記のとおりです。
$$営業利益=売上総利益−販売費及び一般管理費$$
売上総利益とは、商品の付加価値の金額のことです。
販売費及び一般管理費とは、会社が事業活動をおこなう上でかかる費用のことです。
つまり、営業利益は「本業の活動によって得られる金額」となるので、営業利益を見れば、会社の本業が上手くいっているのかがわかります。
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③:経常利益とは
経常利益は、「営業利益」に「営業外収益」を足して、そこから「営業外費用」を差し引いた金額です。
経常利益を求める計算式は下記のとおりです。
$$経常利益=営業利益+営業外収益−営業外費用$$
営業利益とは、本業の活動によって得られる金額のことです。
営業外収益・費用とは、本業以外の通常発生する収益・費用のことです。
具体的には、「お金を借りた際の支払い利息」や「保有している株の配当益」などのことです。
つまり、経常利益は「本業と副業によって得られる金額」となるので、経常利益を見れば、会社の総合力がわかります。
④:税引前当期純利益とは
税引前当期純利益は、「経常利益」に「特別利益」を足して、そこから「特別費用」を差し引いた金額です。
税引前当期純利益を求める計算式は下記のとおりです。
$$税引前当期純利益=経常利益+特別利益−特別費用$$
経常利益とは、本業とは副業によって得られる金額のことです。
特別利益・費用とは、本業以外の通常発生しない収益・費用のことです。
具体的には、「土地を売却した売却益」や「工場が火災で焼失した際の損失」などのことです。
つまり、税引前当期純利益は「会社の事業活動によって生まれる、全ての利益と全ての費用を計算した金額」となるので、税引前当期純利益を見れば、会社が1年間でどれだけ利益を上げたかのかがわかります。
⑤:当期純利益とは
当期純利益は、「税引前当期純利益」から「法人税等」を差し引いた金額です。
当期純利益を求める計算式は下記のとおりです。
$$当期純利益=税引前当期純利益−法人税等$$
税引前当期純利益とは、会社が1年間で上げた利益のことです。
法人税等とは、利益にかかる税金のことです。
つまり、当期純利益は「会社の1年間の最終的な利益」となります。
株主に支払われる配当金は、この当期純利益から支払われるので、投資家にとって重要な金額です。
まとめ
当期純利益とは、「税引前当期純利益」から「法人税等」を差し引いたもので、当期における会社の最終的な利益を表します。
計算後、利益ではなく損失となった場合は、当期純損失となります。
会社の財務分析をする場合、当期純利益の大きさを前期と比較した成長度合いが重要視されることが多く、その内容や要因についても評価されます。
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